政治教育の重要性を探る ②日本の主権者教育の問題点とは?

2015年に選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことにより、中学校・高校生に対する主権者教育の重要性が高まった。世界にならい、主権者養成に関する様々な取り組みが行われているが、多くの制約があり、問題点も存在する。

 このシリーズ記事「政治教育の重要性を探る」では、日本の主権者教育の問題点や今後の展望、または世界に目を向けることで、主権者教育の在り方を考えていく。

 2回目となる今回は、「日本の主権者教育の問題点とは?」と題し、現在行われている主権者教育の課題に迫っていく。

 1回目:政治教育の重要性を探る ①日本における主権者教育の現状【定義と実施状況】 | おとな研究所 (otonaken.com)

問題点① 政治的中立性

 まず第一に挙げられるのが「政治的中立性の確保の難しさ」である。

 主権者教育:「政治的中立」確保に苦慮…高校教員100人 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

 毎日新聞が学校教員100名に実施した調査によると、64%が「政治的中立性の確保に不安がある」と回答した。教員が政治的中立性を確保しなければならないとする法的根拠はないが、2015年に文部科学省が以下のように通達を出した。

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指導に当たっては、教員は個人的な主義主張を述べることは避け、公正かつ中立な立場で生徒を指導すること。

文部科学省ホームページより

 このことにより、多くの教員が政治的中立性の確保に苦慮しているという現実が見受られる。

 もちろん、まだ政治知識も未熟な学生に政治を教えるのだから、このような配慮はあって当然である。しかし、こういった制限は、政治について深く学んでいくという行為を委縮させているのではないか、という意見もある。

 むしろ教師の多様な意見を聞くことで、学生の視野も広がるのではないだろうか。ただ、思想に大きな偏りが出ないように注意は必要だ。

問題点② 主権者教育=社会科ではない

 2つ目に挙げられるのが、「主権者教育を社会科の授業として扱っている」ということである。文部科学省の調査によれば、全体の4分の3ほどの学校が「社会科」(公民)の授業において主権者教育を行っていると回答している。

 また、文部科学省の調査によると、主権者教育の時間数は平均で年に4時間前後となっている。

主権者教育の指導時間(文部科学省調査より)

 日本の主権者教育は、1年で4時間前後しか行われていないー。主権者教育を始めたはいいものの、中途半端なものにとどまっているのは、この「時間不足」そして「主権者教育=社会科」という思考にあると思われる。

 主権者教育は決して「政治」を学ぶだけではない。自分の住む国・地域をよくしていく、暮らしやすくしていくため、多角的な視点から物事を「自分事として」考えることでもある。

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 これを実践するためには、ただ座学で政治を学ぶだけでは足りないだろう。それではただの社会科の授業と変わらない。今後必要とされることは、学生自身が調べ学習や探究に取り組み、さらには実地での活動を行っていくことだ。現に、一部の学校では「調べる→考える→変える」といったプロセスのもとで、先進的な取り組みを行っている。

総務省|主権者教育の取組状況等 (soumu.go.jp)

 このような事例から分かるように、今後は「総合的な学習の時間」を活用していくことがポイントとなってくるだろう。

問題点③ 効果を上げているのか?

 何よりもこの主権者教育は、実際に効果が出ているとはいいがたい。

 直近2選挙での18・19歳の投票率を見ていくと、どちらも全世代平均より10~15%ほど低くなっている。主権者教育の目的の一つに「若者の政治参加を促進し、投票率を上昇させる」といったものがあるが、現在の状態ではほど遠い。主権者教育を受けたはずの世代であるが、やはり現状の主権者教育では十分な効果を得られていないということだろう。

おわりに

 今回の記事では、主権者教育の問題点に迫った。現状の日本の主権者教育では、効果が上がりにくく、また多くの課題が存在する。教育を施したは良いが、実際にそれが政治参加—投票行動につながっていないということは、まだ不十分であるということだ。次回の記事では、今回挙げた問題点の解決策を探り、未来の日本への処方箋を示せればと考えている。

引用・参考資料

主権者教育:「政治的中立」確保に苦慮…高校教員100人 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

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高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について(通知):文部科学省 (ndl.go.jp)

主権者教育(政治的教養の教育)に関する実施状況調査の結果について:文部科学省 (mext.go.jp)

総務省|国政選挙の年代別投票率の推移について (soumu.go.jp)

総務省|主権者教育の取組状況等 (soumu.go.jp)

 

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かいちょ

投稿者プロフィール

ライターページ
岡山県の高校2年生。 日本維新の会学生部所属、教育問題について考えています。

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