公立高校の学区制度は廃止すべきだ

教育を考えるうえで、最も重要になるのが「機会均等性」である。日本では、憲法第26条において「その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と明記されている。

しかし、現代においても「教育の機会均等」が著しく侵害されるような事案がある。その一つが「公立高校の学区制度」ではないだろうか。今回の記事では、この制度の問題の本質と問題点に迫っていく。

学区制度の歴史

公立高校の学区制度の法的根拠として、かつて「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の第50条に「都道府県教育委員会は通学区域を定める」という規定があったが、2001年に削除されている。

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規定が削除されて以来、2021年度までに47都道府県中26都府県が公立高校の学区制度を廃止したが、残り21の道府県では依然として公立高校での学区制度が実施されている。

私は、公立高校の学区制度に対し、異議を表明したい。それは次に掲げる理由からである。

学区制度が産む「教育機会の不均等」

先述の通り、学区制度は憲法に保障された「教育の機会均等」に反するものであるといえると考える。

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例として、岡山県の事例を挙げてみよう。

図のように、岡山学区や倉敷学区など都市部の学区では、偏差値60代の公立高校が多く存在するのに対して、山間部の備北学区では最高偏差値が50程度に留まっている。

そこで、学区外の高校に出願しようにも、岡山県では「学区外からの受験者は、総定員の5%枠での募集とする」ことが定められており、かつこの枠は比較的高倍率になりやすいため、学区内在住であれば合格が十分に可能な成績だったとしても、この5%枠に苦しめられ、結局学区内の低偏差値帯の高校に通わなければならなかったというケースが出てくる。また、学区外出願制度自体が存在しない都道府県もある。

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実際に発生している事例として、同じ中学校に通っているのに、学区が違うことにより、選択が大きく変わってしまうといった事例がある。岡山県の吉備中央町では、町内唯一の中学校の生徒が、在住地域が違うことにより一方は最高偏差値69の岡山学区、もう一方は最高偏差値51の備北学区にそれぞれ振り分けられることになる。同じ町であり同じ中学校なのに学区が違うことによって、このように「明暗が分かれる」結果となってしまうのだ。

学区制度を設けたはいいが、このように学区間での教育格差が発生している状況は、明らかに「教育機会の均等」に反しているといえるだろう。偏差値だけで教育内容を判断したくはないが、進学実績などを見るとその差は歴然としている。私立高校を受験するという手もあるが、経済的な理由から私立高校に通わせることができないというケースも存在するだろう。

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公立高校にも適切な競争原理を

また、公立高校の学区制度はある意味「既得権益」であるともいえる。この学区制度があることにより、定員割れこそしても一定の生徒数が維持され、高校として存続することになるからだ。

しかし、2021年度の岡山県高等学校一般入試では、新見市の新見高校総合ビジネス科では志願者0名、真庭市の勝山高校蒜山校地は志願倍率0.03倍という結果になった。このように、既に需要の低い学校・学科も存在しているのだから、適切な競争原理を働かせたうえで、学校・学科の改廃・統合を行っていく必要があるだろう。

実際に、新見高校総合ビジネス科は2022年度に普通科内に統合予定である。このように、学科の統合を行うことで、過疎地のベース高校を廃止することなく持続して行くことも十分に可能である。

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当事者だから言えること

私は、今からちょうど1年前に高校受験を経験した。当初は学区外の中堅進学校(偏差値70弱)を受験する予定でいたが、学区外出願制度(先述の5%枠)の影響で諦め、地元の学校(偏差値50前後)に進学することになった。

私自身、今の学校に十分に満足し、楽しんでいる。しかし、後悔もしている。もちろん、自分自身がもう少し学業に真剣に励んでいればよかったのだが、住んでいる地域によってここまでも格差があるということを歯がゆく感じた。

このような思いをしているのは私だけではないだろう。このような思いをしていなくても、都市部に住んでいれば進学の選択の幅が広がっていたはずだから、地域間での教育の格差が大きく開いているといわざるを得ない。

法律において「公立高校の学区制度」は明記されていないのだから、あとは各都道府県の教育委員会の動きにこれからがかかっている。受験前や、学校で教育を受ける前から可能性の芽が摘まれてはならないだろう。

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私は、学生たちの無限の可能性を伸ばしていくために、公立高校の学区制度を廃止するよう強く求めたい。

引用・参考資料

全国47都道府県公立高校の学区(通学区域)

・岡山県教育委員会ホームページ

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