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公人・有名人と不倫問題 どこまでプライベートに責任を持つべきか?

相次ぐ「コロナ禍での不倫報道」

 コロナ禍での不倫報道が止まらない。今年4月、国民民主党の山尾志桜里衆院議員が、不倫の末に不倫相手の元妻を自殺に追い込んでしまったと報道された。また、5月に入ると、立憲民主党の石垣のりこ参院議員が、私設秘書の菅野完氏を不倫していると報じられた。さらに、プロ野球・千葉ロッテの清田育宏選手が今週、不倫などによる謹慎処分が明けた途端、再度不倫を行ったことが発覚し、直ちに契約解除されてしまった。5月10日には、コブクロの黒田俊介氏の不倫疑惑まで報じられている。

 世間ではコロナが猛威を振るい、緊急事態宣言が多くの都道府県で出されている。政府や地方自治体が、不要不急の外出自粛を要請しているにもかかわらず、多くの公人・有名人が不倫をしているようでは、一般人も理解に苦しむだろう。

 今回は、この中でも反響が大きかった立憲民主党の石垣のりこ議員、国民民主党の山尾志桜里議員、千葉ロッテの清田選手を比較して、公人・有名人とプライベートの問題について考えて行きたい。

最近の主な「不倫事案」の比較検討

山尾志桜里議員の事例

 山尾志桜里衆院議員は、交際関係にあると報じられている倉持麟太郎氏の自宅まで議員パスを使ったことが、第一に問題視された。さらに、倉持氏の当時の元妻が自殺したことにより、平成29年の不倫問題が再燃した。

 党の内外から山尾氏に対しては厳しい批判がぶつけられたものの、国民民主党は前者にのみ厳重注意処分をし、後者はプライベートであることを理由に処分をしなかった。

 しかし、そのような理屈は通らないことは明白である。山尾議員の問題点については、私の過去記事に譲るとして、そちらを参照していただきたい。

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関連記事:山尾志桜里議員は文春報道について説明を尽くすべきだ 国民民主党の自浄作用も問われる

この「山尾事件」が、国民民主党に与えたダメージは計り知れない。しかも、山尾氏を処分できなかったことで「損切り」に失敗し、国民民主党は、山尾氏と心中する道を事実上選んだと言える。仮に山尾氏の影響で衆院選惨敗となれば、「山尾のせいで負けた」と言われるだろう。この場合、山尾氏の政治生命は、絶たれたも同然だ。

立憲民主党・石垣のりこ議員の事例

石垣のりこ議員(本人HPより)

 立憲民主党・石垣のりこ議員は、私設秘書の菅野完氏との不倫が報じられた。当初不倫関係であることを否定していたが、続報で、不倫の証拠に加え、隠ぺいを図った関係者の音声まで報じられるに至っている。

【独自】立憲・石垣のりこ議員、菅野完氏との「不倫の証拠」と「隠ぺい音声」を入手(週刊女性プライム)
https://www.jprime.jp/articles/-/20911

 こちらの事案は、最近報じられたということもあり、立憲民主党の公式の対応は、これからということになるだろう。立憲民主党は政府与党に対する厳しい追及を行っていたが、私設秘書と不倫を行い説明も二転三転している身内の石垣氏に対し、厳しい処分ができないのであれば、立憲民主党の主張にもはや説得力は無い。なぜなら、身内に甘く政敵に厳しいのであれば、それは二重基準に過ぎないからである。

千葉ロッテ 清田育宏選手の事例

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清田選手(NPBのHPより)

 清田育宏選手は、部外者と会食したことを報告していなかったことで、無期限謹慎処分を言い渡されていた。しかし、清田選手は、謹慎が明けて2軍戦に復帰してすぐ、「不倫デート」を行ったところを週刊誌に見つかってしまった。謹慎が明けてすぐの不祥事に、事態を重く見たロッテ球団は、直ちに清田選手との契約を解除した。

 政党が、公人である政治家の不倫に対し処分できない中、素早い対応で球団へのイメージダウンを図った格好だ。コロナ禍でもマスクをつけずにプレーせざるを得ないスポーツ選手であるからこそ、他の選手や関係者に感染させないよう、注意すべき義務があったという点も考慮されているだろう。

 ともかくも、報道の後ただちに調査をし、処分したことは、危機管理としては妥当な対応である。

根強い「不倫はプライベート論」も、所属組織の評価を下げたことを理由に処分の対象とすべき

 不倫という不祥事が、その性質上、プライベートの範囲で起きたことを理由に、所属組織の処分に反対する声も根強い。しかしながら、不倫がプライベートの範囲に属するとしても、所属組織の評価を下げると言う点で、公的な事柄での不祥事と変わりがない。そうであれば、構成員は、所属組織の評価を下げないように行動する義務があるし、その義務に反した場合は、処分を受けるべきである。特に、国会議員の場合、職務の性質上いついかなるときも議員という肩書が伴うのであるから、私的なことであっても公的な意味が生じる。したがって、国会議員の不倫は、特に公的な不祥事と同視すべきであり、プライベートとして言い逃れを許すべきでない。

 政党も、不倫をして大々的に報じられた所属議員を処分できなければ、不倫に甘い政党というレッテルを貼られかねない。イメージダウンは必至だ。政党の党首も、「不倫した議員を処分できなかった失格のリーダー」ということになるだろう。

 国民民主党は、山尾議員を処分することができなかった。石垣のりこ議員に対し、立憲民主党は厳しい対応をすることができるのだろうか?石垣議員の場合、私設秘書・菅野完氏との不倫であるから、山尾氏の件より一層説明責任は重い。税金を原資に不倫をしているという誹りを免れられないからだ。

 もし、石垣のりこ議員を立憲民主党が不問とした場合、イメージダウンは不可避で衆院選への影響は計り知れないだろう。立憲民主党は、自分に甘く他人に厳しい政党なのか?立憲民主党の対応が、問われている。

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