カブール陥落。タリバン政権樹立はリベラル外交の大失敗。

アフガニスタンの首都、カブールが15日、イスラム過激派組織タリバンの侵攻により陥落した。アフガニスタン共和国政府の大半の機能はこれにより失われ、大統領や政権高官は次々と国外脱出した。これにより、事実上アフガニスタン全土を手中に収めたタリバンは「アフガニスタン・イスラム首長国」の樹立を宣言した。結果的に、その数10万人以上と言える西側連合の協力者の生命が脅かされており、米国をはじめとする多国籍軍は協力者のアフガン脱出を行える状況にはない。更には、タリバンはイスラム原理主義(シャリーヤ法)に基づく統治を行う事を宣言しており、基本的人権、特に女性の自由と人権は完全に奪われた状況と化してしまっている。

タリバンのカブール占拠により、公共の場からはすでに女性の顔が消されている。

数か月前からタリバンの攻勢が強まっている事に対する警鐘は各種情報機関から出ていたが、当時の状況からは年内の首都陥落は想定外であった。つい先週までも、カブール陥落は最短でも10月程度との見方が強かった。しかしながら、米国の撤退と、バイデン政権のアフガン軍に対する非協力的な姿勢がこの惨状を引き起こしたと言えるだろう。

タリバンによる不当逮捕が横行するカブール

本日の記事では、アフガン政府崩壊の経緯と、バイデン政権の杜撰な対応を見ていきたい。

トランプ合意

Trump speaking in front of an American flag behind a podium, wearing a black suit and red hat. The podium sports a blue "TRUMP" sign.
アメリカ・ファースト外交を展開し、アフガニスタン撤退を推進したトランプ氏


元々は2001年の同時多発テロ事件の首謀者であるオサマ・ビンラディン氏とアルカイダを当時のタリバン政権が匿い、国家ぐるみで支援していた事から2001年10月にアフガニスタンは米国を筆頭とする多国籍軍に侵攻され、陥落した。その後はタリバン政権に対抗していた北部同盟を中心とした自由民主主義国家アフガニスタン・イスラム共和国が樹立された。しかし、タリバンは山岳部を中心にゲリラ活動を行い、決して全土が平定された訳ではなく、米軍も戦闘を定期的に行う状況が続いた。

2001年から20年近く局地的な内戦状態が続いてたアフガニスタンだが、2020年にトランプ大統領(当時)が和平と引き換えに米軍の撤兵に関する合意をタリバンと結んだ。撤兵の条件としてタリバン支配地域にてテロ組織を匿わない事や、捕虜交換などの内容を含む和平合意が結ばれた。しかしながら、トランプ大統領は「タリバンがよくない事をすれば、我々は信じられない程の火力で戻ってくる」と、タリバンに釘を刺していた。実際、この合意でも米国籍の軍需企業によるアフガン軍サポートや米国のアフガン軍に対する非戦闘援助は継続する方針であった。

バイデンの失態

しかし、トランプ大統領の選挙敗北によるバイデン政権樹立後、状況は急変する。タリバンは大規模な侵攻を再開した。しかし、バイデン政権はこの状況の急変にも拘らず、米国の撤兵方針を維持。更には、アフガン軍の整備維持協力を行っていた委託業者までも撤退が決定し、アフガン軍の任務遂行能力が結果的に大幅に低下した。アフガン側の技術者派遣要請も拒否したバイデン政権は意図的にアフガニスタンの国防能力を低下させたと言っても過言ではない。

バイデン政権発足後、急速に勢力を拡大するタリバン

バイデン政権は自体が急変したにも拘らず、撤兵を強行し、そしてアフガン軍への支援を打ち切った事により、アフガン軍は急速に崩壊していった。2021年5月以降、機材不良などにより、戦闘不能となったアフガン軍部隊が続出。結果的に短期間に大量の州都が陥落する事態となった。

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撤退方針を維持するとしても、撤退の先送りとアフガン軍支援は行えたはずだ。しかし、バイデン政権はそれを意図的に行わず、逆に「アフガン軍は戦わなかった」と国内世論向けにパフォーマンスを行っている。しかし、「アフガン軍を戦えない様にした」のがバイデン政権なのである。

バイデン政権によるこの大失態により、今アフガニスタンでは大量の女性が強制結婚、そして教育と職場からの排除の危機にさらされている。西側の民主主義と自由を信じた万単位の協力者が惨殺される危機にさらされている。そして、アフガニスタン全3800万人から、言論、結社、思想の自由が奪われようとしている。

(数年前の動画)米国協力者の女性翻訳家を襲うタリバン

味方を見捨ててはならない

我々西側諸国は自由と民主主義、人権の尊重を掲げながら世界で活動している。なのにも関わらず、自由国家を築こうとしていてたアフガン国民を見捨てたのだ。自由主義陣営の恥として覚えられる出来事となるだろう。米国はアフガニスタンでの活動で国家予算の1%も使用しておらず、戦闘死亡者も2016年以降はゼロだった。多国籍軍が居る事自体が抑止力となり、同時にアフガニスタン国家建設に協力する事ができたのだ。米国では「戦争は永久に続けられない、何人もの同胞が命を落とさなければいけないのだ」とのポピュリスト的主張が世論を乗っ取った。しかしながら、実際は近年戦闘での犠牲者はゼロだった。

Coalition casualties in Afghanistan - Wikipedia
多国籍軍の犠牲者数推移

圧政から脱出したい人々空港に押し付け、輸送機にしがみつき、空から落ちる。地獄とも言えるアフガニスタンのこの現状を見て、ポピュリズムと理想で外交選択を行う危険性を読者には理解して頂きたい。

 

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