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ロシアがウクライナ全土の標的を攻撃、バイデンが制裁を約束

ロシア時間24日未明、プーチン大統領がウクライナの「非武装化」を指示した後、ロシア軍がウクライナ全土を標的とした攻撃が開始されました。今回の実力措置に対抗し、西側諸国はロシア政府に対するさらなる制裁を発動させる事が推測される事から、世界中の金融市場の急落を招きました。

ウクライナ内務省によると、ロシア軍は木曜日未明にミサイル攻撃を開始し、首都キエフを含む広範囲が標的になっていると警告し、市民に避難所に行くように促しました。ウクライナ国境警備隊は、ロシアが占拠中である南部のクリミア地方や北に面するのベラルーシなど5つの地域から砲撃を受けたと発表しました。

プーチン大統領は攻勢開始に先立つテレビ演説で、ロシアはウクライナを「占領」するつもりはないと述べましたが、米国と西側諸国がNATO同盟(北大西洋条約機構)を拡大することはロシアが提示した「レッドライン」を越えた看過できない行動である為、この措置が必要になったと主張しました。ジョー・バイデン米大統領は、プーチンの動きを「いわれのない不当な攻撃」と非難し、「世界はロシアの責任を追及する」とロシア政府に対して忠告しました。

今回の攻撃を受け、ウクライナのゼレンスキー大統領は全土に戒厳令を敷き、防衛体制の強化を図っています。また、クレバ外相はツイッターにてプーチン氏が「ウクライナへの全面的な侵略を開始した」と述べ、同国は「自らを守り、勝利する」との内容を投稿しています。

ゼレンスキー大統領はバイデン大統領との緊急会談後、ビデオ演説にて「我々は働いている。軍隊は働いている」と発言し、国民に落ち着くように、そして可能であれば家にいるようにと促しました。

ロシアの国防相は、今回の空爆はウクライナの軍事インフラを狙ったもので、住民に脅威を与えるものではないと主張しています。

バイデン氏は声明で、「プーチン大統領は、破滅的な人命の損失と人的苦痛をもたらす計画的な戦争を選択した」と主張し、「この攻撃がもたらす死と破壊の責任はロシアだけにあり、米国とその同盟国およびパートナーは、団結して断固とした態度で対応する」と極めて強い批判と制裁措置を行う準備がある事を表明、木曜日中にG7(主要七か国)との協議後、ロシアに対する追加の制裁内容をと発表しました。

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市場の暴落

ロシアによる軍事行動の結果、米国の株式先物や株式は急落し、債券と原油価格は高騰しました。S&P500とナスダック100の株価指数はハイテク株を中心に約2%下落。欧州の先物は約3%下落し、日経平均株価は今年の最安値を更新しました。なお、モスクワ取引所では、ルーブル、株式、先物の取引が停止された。

株価の下落はより安全な投資先とされ金や通貨、国債に資金が流入する結果となり、米10年債利回りは1.90%を割り込みました。金は2021年初頭以来の高値を記録し、ドルや円は急伸しましたが、一方でリスク要因を抱えるユーロやルーブルは後退しました。

一方で原油価格に関してはは、ロシアのエネルギー輸出中断リスクの可能性があるため急騰し、ブレント原油は1バレル100ドルを超え、急騰しました。

ロシアの謎主張

米国とその同盟国は数週間前から、首都キエフを含むウクライナへの本格的な侵攻の可能性を警告しており、ロシア軍が国境に15万人の軍隊を集結させたと推測されています。

プーチン大統領は演説で、今回の軍事行動の目的は 「今8年間、現ウクライナ政権による迫害と大量虐殺に苦しんでいる人々を守ることだ 」と述べ、軍事行動の正当化を図っています。

更に、「(人々を守る為に)ウクライナの非武装化と非ナチス化、そしてロシア連邦の市民を含む民間人に対する複数の流血犯罪を実行した者たちを裁くことを目指す」と述べ、今回の軍事行動はあくまでも人命救助を目的とする建前を崩しませんでした。

同じ演説でプーチン大統領は「我々の計画には、ウクライナの領土を占領することは含まれていない。」と発言し、軍事的野心がないとも主張していますが、これには諸外国から否定的な見方が強まっています。

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不透明な情勢が当分続く

今回の衝突のトリガーとも言えるNATOの拡大にかんして、NATO内では、ロシアには他国の加盟に対してこれを批判する権利はないと主張しつつも、同盟内ではロシアへの譲歩論を見受けられます。NATO内ではロシアの主張通り、これ以上のNATO拡大を行わない事を表明するかどうかで意見は分裂しています。現時点では、東方不拡大は約束してないものの、ウクライナのNATO加盟は認められておらず、NATO加盟国は軍をウクライナに派遣することはなく、代わりに東欧の他のNATO同盟国への兵力派遣で防衛体制の強化を図っています。

結果として、軍事行動は始まっても、西側諸国からの直接的な支援がないウクライナは極めて不利な立場に陥っています。各国でこれからの対応が不透明である以上、ウクライナの窮地は当分続く見通しです。

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