オーストラリアの民主主義


ACT: Parliament House Site Tour - Facility Management Association of  Australia
パーラメント・ハウス(議事堂)、キャンベラ

11月17日に訪日した豪州のモリソン首相(52)は菅首相との首相会談に臨み、自衛隊と豪国防軍の相互訪問時の法的地位を定める「円滑化協定」について大枠で合意する事に達成した。

死刑制度を廃止している豪州としては豪軍人には死刑判決の適用メカニズムの運用方法など、複数点の調整は残るものの、「戦後、米国以外と軍事協定を結んでいない日本にとって歴史的なマイルストーン」、「日豪関係における歴史的な前進」などと豪州の公共放送ABC(オーストラリア放送協会)が報じ、この協定に対する期待は日豪両側で共有されている。

豪州にとって、日本はアジア太平洋地域に於ける数少ない自由民主市議国の仲間であり、近年増加しつつある中国の脅威に対する西側諸国との連携強化の柱として捉えられている。

そこで、日本ではあまり報じられない、「似ているようで、少し違う」豪州の政治制度を今日説明したいと思う。

豪州は日本と同じ立憲君主制と議院内閣制が両立するウェストミンスター制度を採用している国家である。因みにアジア太平洋地域では、(豪州の姉妹国家である)ニュージーランド、豪州と日本のみが世襲君主が君臨するウェストミンスター制度を採用している。(マレーシアの国王は各州の君主による互選によって選ばれるため、世襲では無い)

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photograph of Queen Elizabeth II in her eighty-ninth year
エリザベス二世

豪州の元首は英国に在住しているエリザベス二世女王である為、国事行為は行えない。その為、女王陛下の代理として総督が女王陛下の公務を代行する立場にある。現在の総督はデイビッド・ハーレイ大将 (AC DSC FTSC)であり、法律の公布などの国事行為を担当する。

David Hurley official photo.jpg
デイビッド・ハーレイ大将 (AC DSC FTSC)

※AC=豪州コンパニオン勲章

※DSC=殊功勲章

※FTAC=豪州工学アカデミーフェロー

総督の名前と共ににこれらの栄典を記する事は慣習となっている。

豪州は議員内閣制を採用しているため、日本と同じく過半数の信任を得た議員が総理大臣となり、内閣を組閣する。しかし日本と違い、首班指名選挙は行わずに過半数の信任を得ている議員を総督が(女王陛下の代理として)直接総理大臣として任命する。

総理大臣任命式

現在の豪州首相は先ほど書いた通りスコット・モリソン氏で、30代目の総理大臣となる。モリソン氏は自由党の党首として、ジュニア・パートナー(連立に於ける小政党。日本における公明党)である国民党と共に連立政権を樹立している。この連立政権は戦後一貫として続けられている為両党は同一視され、名前は単純に”The Coalition” (連立・連合)と呼ばれている。クイーンズランド州では「自由国民党」となり、合併も果たしている。

Scott Morrison 2019.jpg
モリソン首相

豪州の下院、衆議院は比例代表制度が無い完全小選挙区制度である為、二大政党(連合)制が確立しており、151議席中、145議席は与党会派と最大野党で占められており、これ以外に一議席以上有する会派は存在しない。

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Australian House of Representatives chart.svg
衆議院の構成
与党連合は青・緑・水色
野党(労働党)は赤色
衆議院議場(キャンベラ)

なお、上院では比例代表制が採用されているため、76議席中、与党と最大野党は62議席しか獲得しておらず、左派「緑の党」が9議席、右派の「ワン・ネーション(一つの国家)」が2議席を有し、他にも事実上の無所属が3名所属しており、下院よりは多様な構成となっている。

Australian Senate chart.svg
元老院の構成。色は衆議院と同様(黄緑は緑の党)
Australian Senate - Parliament of Australia.jpg
元老院議場

豪州の政治制度における慣習は英国の議会制度に倣ったものである為、日本とは異なり最大野党会派は「影の内閣」を組閣する事が当然視されており、憲法上には存在しないものの、議会規則や法律上の地位は保障されており、一般議員とは異なる権限、報酬、政務費用を得られる

総理・副総理と野党党首・副党首は同じテーブルで向かい合う構図となる

最大野党会派は”Opposition”と呼ばれる(野党、但し、「女王陛下に対するオポジション(敵対勢力)」では無く、「女王陛下の野党= “Her Majesty’s loyal Opposition”」の略である)

野党第一党の党首は”Leader of the Opposition”(野党代表)と呼ばれる

野党第一党に関して

現在「影の内閣」の筆頭である野党代表はアンソニー・アルバニージー氏(57)であり、第21代労働党党首、第34代野党代表を2019年から就任している。

Anthony Albanese.jpg
アンソニー・アルバニージー氏

これらの人物や制度が豪州の政治制度の根幹であるが、次回は豪州の主要政党に関して説明する。

 

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マクロスおとな研究所 経済担当

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某国立大学の文系学生です。主に経済や選挙制度に関する記事を書きます!
※2021年7月15日を以て引退。

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