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オーストラリアのスパイ機関、外国勢力による選挙妨害を阻止

オーストラリアの情報機関は9日、利他的な政治信条を持つ候補者や買収され易い傾向がある選挙候補者の選挙資金を違法に調達しようとする外国政府の試みを阻止したと発表しました。

ASIOのマイク・バージェス長官

オーストラリア安全保障情報機構(ASIO)のマイク・バージェス長官は、水曜日に発表した安全保障上の脅威に関する年次評価で、対象国を特定しなかったものの、事件の存在自体の公表に踏み切りました。また、介入の標的となった選挙が連邦選挙なのか州選挙なのかについても言及しませんでしたが、オーストラリアは5月に衆議院の任期が迫っており、大型選挙を控える中での発表となりました。

「操り人形師 」の手口

「この事件は、外国政府やその情報機関と直接かつ深いつながりを維持する富裕層が関与していた」とバージェス氏は述べ、この富豪を「操り人形師(puppeteer)」と称しました。この「操り人形師」は、諜報員に数十万ドル(数千万円)を提供し、その国に親近感を持つ候補者や「誘惑と(スパイ)育成に弱い」候補者を探させたとバージェス氏は述べました。金銭的援助以外にも、支援を受け入れた候補者には海外のニュースプラットフォームで有利な記事を掲載する約束や、選挙コンサルタントや広告代行業務を行う事などが含まれていたといいます。

現時点では告訴が行われたかどうかについては明らかになっていませんが、オーストラリアと中国の関係は、近年悪化しており、度々両国による外交的な衝突が発生しています。中国政府はオーストラリアが2019年に導入した、外国人による政党への献金や、外国人によるオーストラリアの政治への隠微な干渉を禁止する法律を批判した事もあります。

高まる豪中対立

これに対しオーストラリア政府はこの規制は米国とフランスの大統領選挙に加え、英国のブレグジット国民投票に対する外国からの干渉に対応したものだと説明しており、中国を特定したものではないと反論していますが、近年の動向を踏まえると中国が念頭にある事は否めません。

2020年、メルボルン在住の中国人コミュニティ組織のリーダーで元政治家候補のディ・サン・デュオン氏が、外国人干渉の罪で初めて起訴された他、昨年にはシドニー在住の政治アドバイザー、ジョン・シーシェン・ジャンゴンは、中国のための違法な外患誘致に関する警察の捜査で使われた捜査令状に対して、オーストラリアの最高裁判所で異議を申し立てましたが訴しており、豪中関係の悪化は続いています。

日本でも他人事ではない

権威主義国家による日本を含む民主主義国への選挙妨害は近年激化傾向にあるとされており、今回の事件の様な直接的な買収以外にもネット空間を利用したデマ・誹謗中傷の流布や、ワクチンや地球温暖化・経済政策などに関する誤った知識の拡散なども行われており、日本なども対策が急務となっています。

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資料:  発表原文(英語・オーストラリア安全保障情報機構)

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