「ハーフ」好きの大人たち – 国際結婚の「目的」

「ハーフ」とは、国籍の異なる夫婦の間の生まれた子供のことを指す。近年では、「ミックス」「ダブル」など様々な呼称があるが、今でも「ハーフ」という言葉は、複数の国籍/人種ルーツを持つ人々への羨み、嫉み、揶揄、賛辞などの心情までも含んだ言葉として用いられている。ここでは、「ハーフ」の子供をもつことになる国際結婚のカップルに焦点を当てて問題を提起したい。

「ハーフ」への差別

それは憧れか、特別視か

日本国内の状況を鑑みると、「ハーフ」に対する実質のない憧れのような感情が社会全体に流布しているようである。雑誌のメイク解説ページや、カラーコンタクトの商品説明にも、「ハーフ風」という言葉がよく用いられている。

しかしながら、この時用いられている「ハーフ」は、いわゆる白人系との「ハーフ」しか想定されていないのである。本来であれば、アジア系のバックグラウンドや、ヒスパニック、黒人系、最も多様性が認められるべき状況で、「白人とのハーフ」を前提にして外見を褒め称える。このような社会の風潮は問題だろう。

やはり自分は「異質」なのか?

「ハーフ」という言葉には上述のように(問題のある)ポジティブなイメージがあるように思えるが、それでも複数のルーツを持つ人が、日本で差別を受けたと感じる例は少なくない。

以下にいくつかの例をあげる。

  • 「国籍は日本なの?」と聞かれる
  • 「日本語は喋れる?」「日本語上手だね」と言われる
  • 家庭のプライバシー(使う言語、両親の馴れ初め)に触れられる
  • 名前や名字を揶揄われる

このように、憧れの対象や特別視を受けながらも、自分自身が「日本人ではない」という扱いを受けることは、辛く、特に思春期であればアイデンティティの形成に強く影響を与えるのだ。

「ハーフ」選好社会

このように、日本でも未だに「ハーフ」をはじめとしたミックスルーツの人々に対する差別は残っており、それらは必ずしも人々が「悪いこと」と認識できない、マイクロアグレッションのような形を取ることが多い。ここで提起したいのは、このような現状にも関わらず、「ハーフ」の子をもちたい、と無責任に国際結婚に憧れる人がいるという問題である。

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 「ハーフ」を産みたくて国際結婚?

例えば、数年前にある呉服屋の広告が炎上した。その内容とは、交差点に立つ着物を着た女性の上に、「ハーフの子を産みたい方に。」というコピーをつけたものだった。

このコピーには、まるで国際結婚のカップルが「ハーフ」の子供目当てかのように受け取れるという意見、また着物を交際相手を惹きつけるための道具であるかのように扱っているという意見が寄せられ、様々な層からの批判を受けることとなった。

リサーチを進めていると、このようなサイトも見つかった。

現在国際恋愛中の方も、日本人としか付き合ったことないけどハーフの子供が産みたいから外国人を探している・・・なんて人も、ぜひ知っておきたいハーフの子供にみんながどんな期待をしているのか?

https://gaijinget.com/498.html#i-6

このような導入のもとに、「ハーフ」の子供が欲しい人が失敗しないための方法を解説するページである。そのほか、外国人との出会い方や恋愛ハウツーなどの解説記事が掲載されている。

確かに、どのような人がタイプで恋愛をしたいと思うかどうかは、人それぞれかもしれない。

しかしながら、「外国人」を特別視し、そしてその対象は往々にして欧米系白人であり、子供の容姿を優先して配偶者を選ぶのであれば、それは明確な差別なのである。

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 「ハーフベビー」ブランド

また、インスタグラムには「#ハーフベビー」なるハッシュタグがあることをご存じだろうか。2022年6月現在で22万件ほどの投稿がされている。

愛おしい赤ちゃんの成長記録を残しておきたい気持ちは理解できるが、そこに「ハーフ」という言葉は必要だろうか。子供をブランド化し、ルッキズムの波に晒しているようなものだと感じられる。

更に、#和顔ハーフ というハッシュタグも存在している。より明確に「ハーフ」というイメージとは離れて、日本人の顔の特徴を持って生まれた子供として自分の子供を扱っているのだ。そこには期待通りの「ハーフ」ではないことを残念に思ったり、弁解したりする気持ちが反映されていると考察することは容易である。

「ハーフ」の子供と歩む覚悟がありますか

「ハーフ」はブランドではない。国際結婚の家庭に生まれた子供は、小学校や中学校で差別にあったり、アイデンティティクライシスを起こす可能性がある。

真剣に愛し合っている人と結ばれた時、お互いの同意のもとに生まれてくるのが子供であって、子供は親のコンプレックスを解消したり、憧れを叶えたりするために生まれてくるのではないのだ。

子供がぶつかるであろう壁に向き合い、子供が自分とは異なる経験をすることを理解し、差別には毅然とした態度で対抗する。そのような責任を負うことを了解した上で、国際結婚を検討してはいかがだろうか。

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Alice編集部員

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おとな研究所 編集部員
ジェンダー/セクシュアリティや外国人の権利問題に強く関心を持っています。社会問題についての記事が多くなると思いますが、おとな研究所に新しい風を吹かせることができればと思います。

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