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民法改正に気をつけよう

民法改正に気をつけよう

 令和2(2020)年4月1日、改正民法が試行された。民法改正のニュースは、新聞やネットニュースでもそこまで大きく取り上げられるわけではないので、「改正されたこと自体初耳だ」という人も多いだろう。しかし、読者の皆さんの生活とも関係のある事項についても、改正は及んでいる。したがって、この記事では、特に皆さんの生活と関係があるだろうと私が考える部分に絞って、改正された点を取り上げたい。

消滅時効期間の統一化

 消滅時効とは、「債権者が一定期間権利を行使しないことによって債権が消滅するという制度」のことを言う。つまり、例えばお金を貸した後返済期限が来てもずっと請求をしない場合、返済期限から一定期間の経過後、請求することが認められなくなるのだ。同様に、売買代金、賃料など、あらゆる債権についても、一定期間権利を行使しなければ、時効によって消滅する。
 これまでは、消滅時効は原則10年間であった(改正前167条1項)。また、例外的に職業別に短期間の消滅時効を設けていた(同170~174条)。これが、改正後には原則5年間に統一された(改正後166条1項)。
 例えば、家庭教師が生徒への授業料の請求を忘れた場合、3年間請求しなかったときは、もはや請求できなくなっていた。しかし、改正後は5年間は請求できるようになった。
 しかし、改正前民法に基づく時効のまとめサイトが、いまだに情報を更新していない場合がある。そのようなサイトの改正前民法に基づく情報をうのみにして、誤った判断をしてしまう恐れもある。読者の皆さんには、是非とも気を付けていただきたい。

法務省HPより引用(http://www.moj.go.jp/content/001254263.pdf)

定型約款に関する規定の新設

 今日では、不特定多数の相手と事業者が取引をする場合に、約款が用いられている。例えば、携帯会社と通信契約を結ぶ場合や、電車やバスに乗車する場合がこれにあたる。また、会員制サイトに会員登録するという場合にも、約款への同意が必要な場合が多い。
 約款に触れることは多いが、ほとんどの場合長文であるため、皆さんも内容を詳しく確認しないまま同意することも多いだろう。そこで、約款についての一般的ルールが改正後の民法では定められた。


(1)約款が契約の内容となるための要件
 ①当事者間で定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき、②約款をあらかじめ契約の内容とすると顧客に表示していた場合には、個別の条項について合意したものとみなされる。もっとも、信義誠実の原則に反し、顧客の利益を一方的に害する条項については、無効となる場合がありうる。

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(2)約款の変更が有効となる要件
 ①約款の変更が、顧客の一般の利益に適合するとき、②約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性等に照らして合理的なものであるときにのみ、事業者は約款を変更することができる。ただし、②の場合、事業者は事前に顧客に周知しなければならないと定められている。

まとめ 

 民法は、憲法のように高校までの授業で大々的に習うこともなければ、普段ニュースになることも少ない。法学部の学生などでない方にとっては、とっつきにくい法分野だろう。しかし、実は100年に1度とも言われる大規模な改正が、既に今年の4月に完了している。この記事を見て興味を持たれた方は、ぜひ私が参考にした法務省のページなどを閲覧してほしい。

(参考資料)
・現在(改正後)の民法の条文
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089

・法務省「民法(債権法)改正」
http://www.moj.go.jp/content/001254263.pdf

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