おとな研究所は新しくなりました!

金メダリスト水谷選手を「セカンド中傷」するアカウントの「二重基準」を暴く

 卓球混合ダブルス金メダリストの水谷隼選手が、28日、SNSサイト「twitter」で、誹謗中傷されていることを表明した。既にツイートは消されているが、「とある国」から、「くたばれ」などのダイレクトメッセージ(以下「DM」という。)が数多届いたと言う。

 今大会、大坂なおみ選手も心無い誹謗中傷に晒されていることが明らかとなっている。自分の試合が終わって一息つくのもつかの間、誹謗中傷に遭ったら、さぞかし辛いことだろう。水谷隼選手と大坂なおみ選手が、心配である。

 さて、水谷選手の話題に戻ろう。当然ながら、全般的に水谷選手を心配したり同情したりする声が圧倒的である。しかし、傷心の水谷隼選手に、追い打ちをかけるように「セカンド中傷」するtwitterアカウントが、後を絶たないのである。それらのアカウントは、「とある国」という表現が気に入らなかったようで、「外国に対する差別を助長する」などと、水谷選手を逆に批判している。外国からの誹謗中傷への批判より前に、被害者であるはずの水谷選手を差別主義者扱いする、このようなアカウントにはどのような共通点があるのか。調べてみると、呆れるほどの綺麗な二重基準(ダブルスタンダード)が浮かび上がってきた。

「セカンド中傷」する人々の論理

 水谷選手に対し、追い打ちをかけるように激しい批判を繰り返す人々の論理は、単純明快である。

 「とある国」という風に、特定の国を連想させることで、その国の国民全体への評判が悪くなり、差別につながると言うものである。

https://twitter.com/kyokosakaino/status/1420399579871137793

 確かに、属性で過度に一般化して批判することがいけないという主張には、一定の説得力がある。もし、その人が属性で過度の一般化をしているのではなければ、素晴らしい主張だと考える。

「セカンド中傷」をされている方の一例として、上に境野今日子さんのツイートをあげたが、境野さんは、逆に、日本全体を一般化して貶すようなツイートをしている。

<スポンサー>
 

 このツイートでは、日本のことを「人権後進国」と揶揄している。一方では、「とある国」に対する一般的評価を戒め、他方、舌の根も乾かぬうちに日本全体を一般化して貶す。これでは、日本国民の多数に受け入れられることはないだろう。

外国人への一般化は絶対に許さないのに、日本や日本人を一般化して貶す

 境野さんだけではない。もっと露骨な例があった。次に紹介するnaomiさんは、「日本という国の幼稚さ、国民の未成熟さ」「人権意識の低さ」「日本国民のバカさ」と、日本や日本人全体を一般化して貶している。大坂なおみ選手への誹謗中傷が、水谷選手への誹謗中傷と同様に許されないのは当然のことである。だが、naomiさんは、大坂なおみ選手への誹謗中傷が、日本人全体の体質のせいだと論じているように見える。

https://twitter.com/naomi85490234/status/1420482845168992256

 その上で、水谷選手を念頭に、「その抗議の仕方はダメ」と言っているが、説得力は無い。話に一貫性がないからだ。水谷選手の「一般化」を批判する前に、ご自身の日本人に対する一般化を止めた方が良い。

 もう一度確認しよう。naomiさんは、先ほどのツイートで、大坂なおみ選手への誹謗中傷は、日本人全体の人権意識の低さだと言っている。他方で、naomiさんは、「とある国」という抗議は、ダメだと言う。日本人へのヘイトクライムを平然と行いながら、水谷選手が誹謗中傷に耐えかねての「とある国」ツイートを「ヘイトクライム」だと決めつける。これを二重基準と言わずして、何と言えば良いだろうか。

 これはあくまで一例にすぎない。外国に対する差別を厳しく戒めることは悪いことではない。そうであれば、日本人全体に対する差別意識も、同様に批判されるべきなのだ。

自分と意見が同じ人ばかりの人権を考える

 二重基準で水谷選手を「セカンド中傷」する人々は、普段は差別に反対する運動を展開している。一見すると人権を擁護しようと日々運動しているようにも見える。しかし、彼らの「セカンド中傷」は、逆に水谷選手の人権を侵害していると言える。これまでの連日返信やDMで来る誹謗中傷に耐えかねて、多少言いすぎたのだろう。そのような想像をせず、誹謗中傷本体に対する批判よりも、水谷選手のほうに苛烈な中傷を繰り返す。一時期問題視されていた、セカンドレイプと同じ構造が、そこにはあると考える。

<スポンサー>

 このようなダブルスタンダードは、つい先日もあった。オリンピックが「密」を作り感染拡大を助長するという根拠のもと、オリンピック中止を求める人たちが、デモを行って「密」を作っていた。「セカンド中傷」と「オリンピック中止クラスターデモ」、自分や同じ考えの者には甘いがそうでない者には厳しいという点で、通底するものがあるだろう。なお、オリンピック中止デモに関しては、こちらにまとめているので、ぜひ読んでいただきたい。

参考:デモで「密」を作り出すオリンピック中止派 「オリンピック今からでも中止」論の無責任さ

 「セカンド中傷」する人々は、反差別、人権派を標榜しているが、彼らが守る人権は、「自分と意見が同じ人」の人権なのだろう。結局、ヘイトスピーチをしている人と表と裏をなしているのではないかと、思えてならない。 

2件のコメント

コメントを残す