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都議補選・北区 斉藤りえさん(立憲民主党)インタビュー

都議補選・北区 斉藤りえさん(立憲民主党)インタビュー

 東京都議会補選・北区選挙区は、自民党、立憲民主党、維新の会、都民ファーストの会と多くの主要政党が公認候補者を擁立している。さらに、立候補者が全て女性という異例の展開となっており、北区だけでなく東京都中から注目を集めている。
 おとな研究所は、東京都議補欠選挙(北区選挙区)候補者インタビュー第2弾として、立憲民主党公認の斉藤りえさんにインタビューを行った。
 斉藤さんは、平成27(2015)年、東京都北区議会選挙に初当選。聴覚障がいのある政治家として、またシングルマザーとして、当事者の声を政治に反映させてきた。平成31(2019)年、斉藤さんは北区議を任期満了に伴い退任した。その後斎藤さんは同年7月の参議院選挙に立憲民主党公認で立候補するも惜敗。令和2(2020)年5月、立憲民主党公認で、東京都議会補欠選挙(北区選挙区)で立候補することが決まった。


―今回補欠選挙に挑戦しようと決意したのはなぜでしょうか。また北区や都政に対しての思い、という部分ではどういったものがあるでしょうか。
 「私の政治家としての原点は、『多様な当事者の声を政治に届けたい』ということです。2015年の北区議会議員選挙に初めて立候補し、当選させていただいたあと、北区議会では、私が議会活動をできるように様々な環境整備をしていただき、例えば、全国の自治体で初めて議場にパソコンが持ち込めるようになり、各種音声ソフトの使用も認められました。
 昨夏の参議院議員選挙で全国を回っていても、多様な当事者や様々な困難を抱えている方々にとって、まだまだ優しい視点が欠けていることにも、あらためて気づかされました。新型コロナウイルス対策でも、社会の弱者は置き去りにされがちです。家賃が払えない、明日に食べる物を買うお金もない、など切実な声を聞きます。
 私は、こうした人たちの代弁者となり、政治を大きく変えていきたいと考えています。北区は、私にとって、娘と一緒に生活をしている大切な場所です。いわば第二の故郷です。原点に立ち返り、この北区から、東京都の改革に挑戦します。ボトムアップを大切にする、まっとうな政治の実現に向け、一生懸命、都民の皆様に訴えてまいります。」

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―現時点で女性候補の揃い踏みになりそうであるがその感想、所見はありますでしょうか。 障がいを持つ政治家としてこれまで大変だったことはありますでしょうか。
「ご存知のように、日本のジェンダーギャップ指数は世界的に見ても著しく低い位置にあり、その大きな理由の一つが政治の世界における女性参画の低さにあります。こうした状況にありながら、これからの東京について女性同士で議論を深める機会を頂けることを、大変うれしく思っています。
 一方で、ジェンダーの問題は女性だけの問題ではありません。これまで女性が家事や育児といった固定的な役割を強いられてきた一方で、男性側も、学校卒業後は朝から晩まで、時には休み返上で働くことを当然とされ、苦しくても弱音を吐くことは許されず、とても息苦しい生き方を強要されてきたのではないでしょうか。最近は、家庭のことも頑張ろうとする男性が増えているのに、社会が変わらなければ、どこかで無理が来てしまいます。
 男性であっても女性であっても、誰もがジェンダーに縛られない自分らしい生き方を実現していくために、この選挙が、これまで日本を支配してきた価値観を見直すきっかけになれば素晴らしいと思います。
 また、障がいを持つ政治家としての困難は、細かいことを上げればキリがありませんが、最大の壁は、こうした当事者が参画することを前提としていない社会そのものだと思います。こうした前提をくつがえしていくためにも、多様な背景を持つ当事者が必要なのだと思います。」

―以前毎日新聞の取材で障がい者の声を国政にも訴えておられましたが、昨年の参議院選挙でれいわ新撰組から二人の国会議員が誕生しました。 障がい者の政治参加についてのお考えをお伺いしたいです。
「障がい者も含めた多様な国民が、民主主義の象徴である国会に参画することには、大きな意義があるのではないでしょうか。これまで政治に参画することが難しかった方々が、当たり前のようにその声を政治や社会に届けられることは、日本の民主主義がさらに成熟していく可能性を秘めていると思います。
 障がいの有無だけではなく、十人十色の個性や、得意なことも苦手なこともあるのが人間ですし、その違いがあるからこそ、それぞれに魅力があるのだと思います。政治の場においても、そうした異なる人たちが、お互いの価値観を共有し、受け入れていく機会が増えれば、日本は多様性に誇りにできる国に変わっていくと信じています。
 そう考えると、私も障がいを持っている一人の政治家として、自らの責任を果たすことによって、多様性が日本にもたらす付加価値を求めていきたいですね。」

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―都議会における活動で、特に実現したい具体的な政策は何でしょうか。
「障がいを持つ当事者の視点から、東京都の行政や議会を総点検したいと思います。法整備や社会の要請によって、見た目上のバリアフリーや合理的配慮は進んでいます。しかし、そこには配慮の不足している点があるかもしれません。逆に、当事者にとって必要性の低い対応に、不相応なコストや労力がかかっているかもしれません。
 また、今は健康で元気に暮らしている方でも、年を取るとともに、何らかの身体機能が低下することもあるでしょうし、幼い発達段階の子どもたちにとっては、大人が当然としていることが、思いもよらない障壁になっていることもあります。こうした観点から、当事者である強みを最大限に発揮して行政のチェックを進め、子どもも高齢者も障がい者も、誰ひとり取り残さない社会を実現していきたいと思います。
 さらに、私自身がそうであるように、女性がひとりで子育てをすることは、きれいごとだけでは済まない厳しい現実があります。ひとり親世帯の貧困率は5割を超えていると言われていますが、苦しい立場にある人ほど、助けを求めることすらできないのも大きな課題です。
 こうした方々への支援メニューはもちろんのこと、様々な角度からアウトリーチを広げ、支える側から手を差し伸べていく体制づくりが必要だと思います。
 さらに、多様性についても、強く進めていきたいと思っています。『多言語カフェ』というワークショップを行っている団体がありますが、そこでは視覚障がい者や聴覚障がい者、日本語の出来ない外国人の方々など、様々な背景の人たちが参加をしており、スマホやタブレット、筆談ボードなどを使用して、元々は共有のコミュニケーションが無い者同士が楽しく会話をするという、理想的な空間が作り上げられています。こうしてお互いの社会的な障がいを飛び越えていくことこそが、多様性を認め合う社会の基盤づくりであると信じています。」

―その一方で、まだまだ性別・年齢・国籍・宗教・職種・学歴・生まれ・経済的な格差などの様々な壁があり、他者に対する相互理解や優しさの視点が欠けている部分が残っている現実もあります。
「自分とは異なる価値観を持つ人を認め合う、共助・共存していくという意識こそが、多様性ある東京の実現につながっていきます。同じ観点から、同性パートナーシップ制度やLGBTQの方々が生活しやすい東京づくりも、積極的に進めてまいります。」

―平成27(2015)年に北区議会議員となられる際、政治家を志すきっかけとなった事は何でしょ うか。
「私は1歳で髄膜炎に掛かり、その後遺症で完全に聴力を失いました。聴覚障がい者となり、様々な悔しい経験をしてきましたが、その多くは、理解ある社会と適切な環境があれば、経験しなくて良かったのではないかと感じています。
 シングルマザーとなった後、子育てを通して『当事者と社会』についてより強く考えるようになり、今後、若い障がいをもった方々が私と同じような思いをせずに、生きられる環境を整えたいとの思いから、2015年に政治家を目指し、北区の区議会議員となりました。」

―今回の出馬にあたって、支持者の方からはどのような声をうかがっていらっしゃいま すか。
「多くの方から『ぜひ頑張ってほしい!』『様々な当事者であるりえさんだから、聞こえなくても、聞こえる声がある!!』といった声を頂いております。」

―立憲民主党から公認予定ということですが、どの政策に特に賛同していますか。
「党の綱領に、ここまで明確に打ち出されている共生社会こそ、私の理念と全く同一であると思っています。
 多様な存在を理解し、異なる価値観や個性を尊重し、対話によって成熟した社会が作り出されていく。多様性の豊かな社会とはそういったものであると考えています。誰であっても、選択肢を制限される事なくチャレンジすることができる、そうしたロールモデルとして、努力していきたいと思います。
 また『立憲民主党はあなたです!』という表現にも、強く共感しています。東京の民主主義は、私たち都民一人一人が責任を持ってつくりあげていくものであり、一部の限られた人たちが政治を動かすようであってはなりません。そういった意味では、立憲パートナーズという、対等でフェアな支援者との関係性も、まさに真の民主主義を目指す政党の姿勢と言えるのではないでしょうか。」

―小池百合子都知事の都政をどのように評価していますか。
「聴覚障がい者の目線から見ると、字幕や手話通訳、UDトークなど、積極的に取り組んでいただいている分野もあり、一定の評価をしています。一方で、小池知事の独断専行のパフォーマンスが目立ってばかりのところもあり、不必要な対立があおられたりすることも多いように感じています。誰ひとり取り残さない、やさしい都政が実現されるべきだと思います。」

―選挙活動において、何を1 番大切にしていますか。
「選挙活動のみならず、普段から現場に直接足を運び、皆さまの抱えている困難、声なき声をくみ取り、皆さまと一緒に考え、一緒に進め、一緒に政策づくりをしながら、想いを訴えていくことを大切にしています。」

―前回参院選において、教育の分野で「少人数学級の推進」を掲げられていましたが、都議会においてはどのような活動をされていく予定ですか。
「東京都は、国の措置に加えて独自の加配をすることによって、少人数学級を推進しています。しかし、現実的にはまだまだ足りません。特にコロナ禍で、少人数学級とオンライン授業のニーズは確実に高まっていますから、都の独自策強化を求めていくとともに、国の措置も断固として求めていく必要があると思っています。」

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―新型コロナウイルス感染症下において、改めて障害者福祉という部分に注目が集まっていますが、斉藤さんの考えをお聞かせください。
「残念ながらここでも、社会が障がい者を前提としていないことが見えてきています。例えば、難聴者の多くは、聞こえの不十分さを口形や表情などの視覚情報で補っていますが、マスクの着用により難聴者にとって大事な視覚情報が読み取りにくくなり、聞き漏らしや聞き間違いが増えています。
 多くの難聴者は視覚情報を頼りにコミュニケーションを図っている事実を理解して欲しいと思います。例えば、口元が見えるマスクを配布していくとか、情報の見える化も、さらに進めていかなければならないと思います。」

―今後の活動で、政治以外の分野(団体の主催、コメンテーターやタレントなど)は考えていますか。
「現在の私にとっては、障がいを持つ当事者として政治の場で声をあげていくことが、最も大きな責任であると思っています。」

―学生や若者たちに、一言メッセージをお願いします。
「目の前にある社会構造や、従来の価値観が全てだと思わないでください。いつの時代にも、必ず正すべき歪みがあり、それを変えていけるのは、若い世代の皆さまに他なりません。
 想像力にフタをせず、多様な意見や考えに接し、ぜひ広い視野を持って行動してみてください。新しい時代をつくるために、政治は動かすのは、あなたです。」


「誰ひとり取り残さない」という斉藤さんのキャッチフレーズに、全ての人が住みやすい東京を実現するのだという斉藤さんの信念が感じられた。多様な個性や価値観を認め合えるような、より一歩成熟した社会を作るためにも、斉藤さんが必要な政治家であることは、間違いないだろう。

※アイキャッチ画像は、福山哲郎さん公式ツイッターより引用
https://twitter.com/fuku_tetsu/status/1277120629662089216

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