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なぜ「緊急事態宣言」再発令がされないのか

7月に入り、急激に増加した新型コロナウイルス感染症の新規感染者。巷では、緊急事態宣言の再発例が囁かれているが、政府はもちろん、都や専門家もどこ吹く風。なぜ緊急事態宣言再発例がされないのか、考察していく。

感染者の大部分を占める東京都

東京で新たに106人感染 6日連続3桁―新型コロナ

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020070700803&g=soc

今日7月7日に全国で確認された新規感染者は126名。うち106名は東京都の感染者だ。5日に行われた東京都知事選挙で再選された小池百合子都知事だが、翌日に安倍晋三首相と会談した際も、緊急事態宣言に関する話題は出なかったという。6日の都内感染者数は102人だ。
決して多くはない数字だが、東京都は新規感染者が100人台に乗る前に、感染状況と医療提供体制を把握するための新たなモニタリング指標を示している。決して何の対策もしていないわけではなかった。

東京都「新モニタリング指標」発表へ

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4016774.html

これを反映してか、東京都の感染症対策サイトには、従来のモニタリング項目が表示されているが

https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

新たなモニタリング項目が表示されるサイトも新設されている。

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https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/monitoring.html

これら新たな基準に基づき、選挙前の7月2日に「感染拡大要警戒」が発表され、

東京都で感染者107人 小池知事「感染拡大要警戒」、休業要請は否定

https://www.tokyo-np.co.jp/article/39361

4日には都民の県をまたいでの移動自粛を呼びかけた。

「東京都民は他県への移動遠慮を」小池知事、自粛を要請

https://www.asahi.com/articles/ASN745HPWN74UTIL014.html

ただし、この要請には菅官房長官が「必要ない」との見方を示すなど、再び国と都の足並みの乱れが明らかになる場面もあった。

他県への移動 都は「自粛を」 国は「必要ない」 また足並みに乱れ

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https://mainichi.jp/articles/20200706/k00/00m/040/150000c

ここまでが東京都のここ1週間の動きである。

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「再発令」の基準とは

本題に入る。緊急事態宣言の一部解除が行われた5月14日、政府と専門家会議は緊急事態宣言の再発令の指標を以下のように示した。

出典 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000630718.pdf

感染の状況と医療の状況が、「総合的に」判断されるのである
これらのうち、「感染の状況」だけ取ってみれば、その基準を満たしているといえるのだろう。

出典 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html


しかし、「医療の状況」がそうではないのだ。

見落としがちな「医療状況」

インターネット上には多くの新型コロナウイルス関連の情報サイトがあるが、医療状況について詳細を示しているサイトは少ない。著者が参考になると感じたサイトを2つ挙げる。

https://www.stopcovid19.jp/

こちらのサイトでは、現在の患者数や累計退院者・死亡者、さらに対策病床の使用率もわかる。7月7日現在、患者数は1594人で使用率は5%。毎日の累計感染者は多いものの、退院者数も多く、医療法会には至っていないのが現状だ。
さらに、此方のサイトではECMO(人工呼吸器)の実施状況がわかる。

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https://crisis.ecmonet.jp/

5月中旬から、離脱、死亡、実施中ともに横ばいで、こちらも余裕があると見られる。

おそらく専門家はこれらのデータを総合的に判断し、休業要請などを伴う緊急事態宣言の発令は必要ないという判断をしているとみられる。

一方で…

一方で、緊急事態宣言の根拠法である「新型インフルエンザ特別措置法」には、発令の基準を以下のように定めている。

「国民の生命や健康に著しく重大な被害を与えるおそれ」「全国的かつ急速なまん延により国民生活や経済に甚大な影響を及ぼすおそれ」があると政府対策本部長(=首相)が判断した場合

参考記事

国民がこれを見た時、今の状況を「発令するべき」と考えるのも自然だ。
政府は発令の基準を明確化するためにも、法改正を含めた制度の抜本的改革を視野に入れるべき時が来ているのかもしれない。

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