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消費税減税は本当に緊急経済対策となるのか??—減税派の疑問

最近囁かれる衆議院の解散総選挙だが、29日ネット番組にて『コロナ景気対策として消費税を時限的に5%(一部報道では8%)へ減税との大義の元、衆議院が解散される』との報道がなされている。

勿論、決定された訳でもなく、単純に世論の反応を図る「アドバルーン」である可能性もある。しかし、ネット世論を見る限りこの方針は好評なようだ。

私も一貫して消費税増税には反対し、消費税の引き下げには賛同している。しかしながら、GDPが5%も縮小している恐慌とも言える現状に対し、消費減税、特に時限的消費減税は意味が無い物だと考える。

減税の目的とは?

そもそも、減税は長期経済対策である。減税は長期にわたる供給と需要両方を刺激し、潜在成長率を引き上げる。消費増税時は景気に大きなダメージを与えるが、減税時に同規模の消費喚起は出ない。

財政政策には乗数効果と呼ばれる物がある。これは、1円当たりの支出や減税がGDPを何円押し上げるかを図る指数だ。消費税の乗数は1以下で、大まかに0.5程度と推測されている。消費税が10兆円分減税されれば、GDPが5兆円押し上げられる計算だ。

更にこの「減税」は時限的措置と言われている。結果として再増税時の経済へのダメージを考えると割に合わない。

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消費税は名前通り、「消費」に対する税金である。即ち、消費税減税は消費意欲が高ければ高いほど効果がある事だ。消費意欲は消費者心理と相関する。消費者が景気の将来性に希望を持てる場合には活発で、先行きが不安定な場合は低迷する。

中国発の世界的パンデミックによる景気低迷下、消費者心理は過去最低レベルにまで低迷しており、消費活動は完全に止まっている。結果として今時限的減税を行っても、将来の再増税に対する不安や、そもそも消費活動の停滞を考慮すると、この減税は大した経済対策にはならない。

本当に必要な経済対策とは?

景気が大幅後退している現状、行うべきは消費に対する減税ではなく、所得全般に対する減税である。使う金がない限り、消費は増えないわけである。国民の手取りが増えれば、消費者心理は上向き、自然と消費も回復してくる。収入に対する減税は社会保障費の減額などが考えられる。

そして、経済の復活に欠かせないのは企業による設備投資を始めとする投資活動である。力強い民間需要の回復はこれからの成長のエンジンとなり、設備投資によって我が国の供給能力も増強させ、長期的な経済対策にもなり得る。一石二鳥だ。政府は研究費や設備投資、建設、又は研修費用に対する10兆単位の大幅な給付を伴う減税を行うべきである。

消費減税は特効薬ではない。

勿論、消費減税を行うのであれば反対はしない。景気に対して少なからず良い影響があるのは確かである。しかしながら、この経済状況化にて消費減税が景気回復の特効薬である認識を捨て、現実を直視する事を求める。

減税・反緊縮派にはこの国に今必要な経済対策を、ドグマを置いてから考えて欲しい。

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