企業は潰した方が良い!?我が国の生産性を上げるにはどうすれば良いのか?

日本は長期的な低成長に見舞われている。1991から2019年の平均経済成長率はたった0.9%に留まり、米国の2.49%、英国の2.02%、ドイツの1.5%となど、競合先進国と比べ大幅に低い水準となっている。本日の記事では、先進国の経済成長の原動力を解説し、何故日本の経済成長かこれ程遅れたのかを説明したいと思う。

※本日の記事は前回記事「経済成長の鍵は?資本と成長」、と「日本のGDPを6割上げる事ができる、今すぐにも実行可能な政策は?」で説明したモデルが登場するので、是非先に参照して頂きたい。

日本は1990年代以降、構造的な低成長に悩まされてきたが、何故これ程長期的な不況が発生したのかと言う議論が巻き起こっている。一部は政府による財政支出が足りないと言い、他者は政府が肥大化したからだ、と主張し、大体の場合は議論が平行線で終わる。しかしながら、前回の記事で説明した通り、日本の問題は「全要素生産性」の低さにある事が経済学的に分析すると分かる。

資本の量で言えば、日本も米国やドイツなどの先進国と大差ないが、違いは「全要素生産性(TFP)」にある。全要素生産性とは、労働と資本の配分効率性を示す指数で、その国の産業の収益性が図れる。日本はこのTFPで、先進国の6割程度と、大きく劣っている状況が続いている。そこで、日本経済が再び飛躍するのに重要なのはTFPを先進国並みに引き上げる事だと言う事が分かる。本日はTFPの引き上げ方を産業構造の面で考えていく。

TFP|証券用語解説集|野村證券 ↗

高水準なTFPを維持するには、国際的に高い付加価値を与えられる産業の発展が不可欠である。米国はこれがITや金融、メディア産業などで成り立っている。日本も数十年前は電子産業を独占していたが故に高い付加価値産業として、日本の生産性を高めていてた背景があった。

しかしながら、中韓台などの新興国が電子機器製造のノウハウを得た事で競争に見舞われ、電子機器の相対価格は下がる事となった。新興国と競争する産業は、賃金は低水準な国と競争する事となるので、基本的には諦めた方が良い。アップルや近年のソニーはこれらの競合他社と競合しない為に、商品を高級品などの高付属価値製品に特化しているが、これが唯一の生存方法だろう。

ソニー - Wikipedia
コンテンツ、金融、メディアや高級家電にシフトし、危機を回避したソニー

ただ、一部の論者が主張するような、政府主導の産業育成プロジェクトの推進は成功の可能性が非常に低い。

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そもそも政府に将来どの産業が成長するのかは予知できないし、一気に大量の資金を特定の産業につぎ込む事がその分野で我が国の優位性を確立させるものでは無い(MRJ等々失敗例は幾らでもある)。産業育成の為に設置される補助金を永遠続けるのであれば、そもそもその新産業は生産性が低く、意味が無い事となるし、逆に最初に補助金に頼ってた構造から補助金を引き上げるとそれに対応出来ないくなる場合が多々ある。

それでは、日本の産業構造をどうやって生産性の高い物にするかと言うと、産業保護の徹底的な廃止である。市場の資源配分システムは必ず長期的にリターンが高い物に投資が集中する構造となっている。これは、初期に分散された投資が、そのリターンによって徐々に高生産性な産業に集まってくるからである。

簡単な例だが、政府が一つの事業に100%投資し、それを永続的に継続するのではなく、民間が100の事業に1%投資して、その中で特段の成長分野が出てきたら、それからの投資がその残り複数に集中する形となる。

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産業再生機構

民間の自由な投資を妨げないのに必要なのは、政府介入の低減だ。これは、規模を問わず、採算性の低い企業の倒産を認める事、企業による自由な人員拡大整理を用意にする事、政府支援を恣意的なものでは無く、一定の要件を満たす全企業に行う事である。

採算性の低い企業に対して、現在政府は中小企業ならば補助金と低利子融資で支援を行い、大企業であれば産業再生機構などの組織でこれを支えている。しかし、採算性の低い企業の大半は事業分野自体がもう自体遅れであったり、企業体質に問題がある場合が殆どだ。これらの企業の破綻を容認し、そこに溜まっている資本と労働力をより生産性の高い、他の産業に流す方が遥かに効果的だ。

その破綻した企業が市場に必要な製品を作ってたにも拘らず破綻したのであれば、それは企業の運営に問題があるからなので、企業の継続を支援するよりも、その市場を一旦更地にし、そこから新企業の立ち上げが行えるような環境を政府は作るべきなのだ。

無駄なゾンビ企業支援を継続させているが故に日本の構造失業率は異常に低い。これは良い事かの様に捉える人が居るが、これは完全な間違いである。日本の失業者数が低いのは、失業を認めない政府政策の結果である。これは「雇用調整助成金」制度に筆頭され、本来なら生産性が低くて、給料が払えない筈の職にまで、公金で給料を払っているのである。即ち、失業率を誤魔化し、その代償として人材の自由移動を阻害しているのである。我が国は失業率を数パーセント下げる為に成長を数パーセント犠牲にしてるのだ。

国際比較統計:完全失業率|新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響(新型コロナウイルス感染症関連情報)|労働政策研究・研修機構(JILPT)
日本の失業が異常に低いのが分かるだろう。

現在、日本では企業の自由な人員調整ができない状態になっている。それは、解雇規制だけでは無く、人材不足からにもよる。これは非常に大きな問題で、企業と労働者のミスマッチが、終身雇用制度によって永続的に解決されず、労働者の生産性や意欲が阻害される事となっている。

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更に、本来なら離職者で潰れているであろうブラック企業が中途採用が厳しい我が国の「終身雇用文化」によって守られている状態にもなっている。これは低生産性、低賃金、低成長につながる問題であり、解決されなければならない。

加えて、新しい人員を確保するにも、現在は社会保険料の雇用者負担分などの給与以外の金銭負担が大きいが故に、本来行えるはずの事業拡大が行えない企業が続出している。生産年齢人口の減少もこれに拍車を掛け、慢性的な人材不足が深刻化している。これは、政府が労働力の自由な流入、移民を認めていないからである。これから我が国が成長分野を支援するには、ある程度の移民受け入れは必須となる。

関連記事…この国は既に終わっている:少子高齢化|おとな研究所

次回の記事では、TFPの上昇の後編として技術革新と教育について考えていきたい。

 

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マクロスおとな研究所 経済担当

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某国立大学の文系学生です。主に経済や選挙制度に関する記事を書きます!
※2021年7月15日を以て引退。

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