【政治家インタビュー #3】国民民主党 山尾志桜里衆議院議員 後編

 3月7日、「政治家インタビュー」シリーズ第三弾として、国民民主党・山尾志桜里衆議院議員のインタビュー(前編)を掲載した。まだ読んでいらっしゃらない方は、ぜひ先に前編をお読みになってから、本記事も併せてお読みいただきたい。

 そして、今回は、その後編として、主に山尾志桜里議員の政策についてのインタビューを、読者の皆さんにお届けする。

「おとな研究所」のインタビューに答える、国民民主党・山尾志桜里衆議院議員

―新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う特措法改正案について、どのようなご見解をお持ちですか?
「1つは、『まん延防止等重点措置』という平時と緊急事態との間にミニ緊急事態というものを入れようとしています。総理が国会報告なしで簡単に発動できるにもかかわらず、現行の緊急事態宣言にもない過料という罰則がつくなど、大変問題の多い措置です。『まん延防止等重点措置』を作るのでれば、国会の関与が必要ですし、やれることとやれないことを、緊急事態と分ける必要があります。
 2点目は、政府の補償責任は抽象的で努力義務にとどまっています。国民側には罰則付きで営業制限をかけていくこととのバランスを失していると思います。
 3点目は、そもそも緊急事態宣言に国会の報告しかいらないので、首相が出席しない事態が生じるし、国会議員も真剣に賛成か反対か考えてなくてよくなっているんですよね。内閣も国会も責任を問われにくい仕組みになっています。国会承認を必要として、内閣にも説明をさせて、国会議員も賛否を問われて後から批判だけすることは許されなくなるようにすべきだと思います。
 4点目は、自宅待機やホテル療養に協力しない人に、入院させよという点があります。入院したいのにできない人がたくさんいるのに、このようなことをやれば事態が悪化するので本末転倒。やめるべきだと思います。
 5点目は、入院拒否に対し罰則をつけるという話が出ていることです。人権制約として強すぎますし、陽性隠し、検査隠しが増えるので、やめた方が良いと思います。
 このような問題点を発信することによって、閣法を改善させていき、感染拡大防止のために有効な特措法に仕上げたいと思います。」

※インタビューは1月に実施したため当時の状況を反映しています。既に特措法改正案は、令和3(2021)年通常国会にて成立しています。
※山尾志桜里議員による新型コロナ特措法に関する問題提起は、以下の記事にて山尾議員が詳しく解説しています。併せてご参照ください。
【政府のコロナ特措法改正案にみる5つの大問題を速報します】
https://note.com/yamaoshiori/n/n58c1ca5a2692


―特措法以外の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策について、どのような政策をお持ちですか?
「保健所と病院、医療資源の配分の見直しと言うものを急いで行わなければならないと思います。また、民間の病院にもっとコロナ患者を受け入れてもらうために、そもそもコロナ禍で一般の患者さんが減った損失や、コロナを受け入れることによって一般の患者さんを診ることができなくなる損失を補填することにも、補助金を使えるようにすべきだと思います。」

―次に、教育問題について、最近特に関心を持っていらっしゃる問題を教えてください。
「大学生にとって、今コロナ禍ですごく大変だと思います。とはいえ、オンラインでいかに質を充実していくかを追求せざるを得ない中で、大学や個人に対するデジタルツール支援がすごく不十分だと思っています。デジタルツールを持てるかどうか、良いデジタルツールを持てるかどうかで、かなり学業にも影響してきちゃう時代になっていると思います。個人に対するデジタルツール支援を国民民主党で考えていきたいと思います。
 また、新しい就学支援制度が、2浪の人までしか対象とならないという点や、中間所得層への支援がすっぽり抜けてしまっている点も、変えたい。国民民主党はリカレント教育と言っています。つまり、いつでも学業の場に戻って来られて、また次のステップに進んでいけるという社会が必要ですので、就学支援での年齢制限はナンセンスだと思います。」

―選択的夫婦別姓について議論がさかんになっていますが、山尾議員と国民民主党はどのような案をお持ちですか?
「国民民主党としても、私も、選択的夫婦別姓は必要だと考えています。
 政策的な論点として私が気にしているのは、子どもの姓の扱いです。子どもの姓については、結婚する時点で決めていた方が良いという人もいますが、私は適切でないと考えています。
 これから結婚する夫婦が、子どもを持つかどうか、それぞれの事情で持てるかどうか様々な背景がある中で、子どもの姓を結婚するときにあらかじめ決めておかなければならないと政府が言うのは良くない。子どもに恵まれた場合に、夫婦で話し合って決めれば良いと思います。」

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―戸籍制度と選択的夫婦別姓の関係については、どのように考えていますか?
「同一戸籍と同一姓は必ずしもセットではないと考えています。
 ただ、これからの時代に、戸籍制度をこのまま続けるべきかについては、議論をした方が良い。私はプライバシーにすごく配慮しなければいけないとは思っていますので、自己情報コントロール権を前提として、マイナンバーを通じてデジタル社会へと移行していきたい。その中で、本当に戸籍制度が必要かどうか、議論すべきだと思います。」

―コロナによる国際的な政情不安や、尖閣諸島問題など、安全保障環境が悪化しています。安全保障と憲法9条の兼ね合い等について、どのように考えていますか?
「日本は対中政策の転換を大きく打ち出すべきです。私はJPACという対中政策に関する国会議員連盟の共同代表をやっています。中国のような人権侵害に対しては、資産凍結やビザ規制を通じて、このような人権侵害は許せませんとはっきりと打ち出すのが先進的な民主主義国家としてマストになっています。それを実現するためのマグニツキー法(人権侵害制裁法)が民主主義国家の標準装備になっている中で、日本では整備されていないため人権侵害を理由とする制裁を実行できないのです。そこで今、議連でマグニツキー法の整備をすべきだと法案を作って、各党で協議をしてもらっています。今、制裁ができない上に、日本政府は発信すら行っていない。私は野党の議員なので、立法府として、発言すべきは発言し、発言で足りないときは行動できる枠組みを作りたいと思います。
 昨年6月に開かれた国連人権理事会で中国の国家安全法導入の賛否が問われた際、日本や欧州など27か国が『反対』に回ったのに対し、53か国が『賛成』を表明しました。その多くは中国から巨額の経済支援を受けていたり、防衛力が脆弱な国です。ものを言うためには、経済力や防衛力は極めて大事なのです。そうだとすれば、安定した経済力と防衛力を持つ日本が、インド太平洋地域の民主主義の防波堤という役割を果たすべきだと思います。他国の人権侵害に対しても、言うべきは言い、やるべきはやることで、尖閣の近海に中国船が現れるといった自らの国に対する看過できない事態に対しても、国際協調を要請できるわけです。違法行為や人権侵害行為に対しては、価値を同じくする国はお互い助け合いましょうと言うからには、助けを求めるだけでなく、自らも役割を果たさなければなりません。
 9条については、3つのプロセスを踏むべきだと思っています。
 まず、この国の安全保障をどのような方向に持って行くべきかを考えるべきだと思います。もう一度自分の国が直接攻撃されなければ反撃しない個別的自衛権のみに戻すのか、現状の安保法制のように限定的な集団的自衛権まで認めるのか、国際法上許される範囲の集団的自衛権を認めるべきか、そういうことをちゃんと話しあって、おおよその国民的合意を作った方が良いと思います。
 次に、その合意の基本的な原則の部分は憲法9条にしっかり書き込んで、解釈がその時々の政権によって変わらないように、必要な部分だけはピン止めをする。そのうえで、(自衛隊は)国際的には戦力であり交戦権であるので、9条2項との関係もきっちり整備をする時代に来ていると思います。この順番でちゃんと論理的に話を進めて行くべきです。去年3ヶ月かけて週1ペースで国民民主党の憲法調査会をフルオープンで開催しましたが、タブーなき正直な議論を望む国民は少なくありません。」

―山尾さんは待機児童に熱心に取り組まれましたが、待機児童問題や幼児教育・保育現場をめぐる問題点など、子育て政策をめぐる問題点について、どのような考えをお持ちですか?
「待機児童問題は、『保育園落ちた』という私と安倍総理との問答から数年経ちましたが、待機児童の数が半分になっているんですよね。残る1万人の待機児童問題を解決しなければならないということはあるけれども、やはりこれは、野党でも当事者の声を聞いて連携すれば、世論を動かして政策を変えることができるというひとつの体験でしたし、極めてエポックメイキングな出来事であったと思います。ただし、コロナ禍で問題が変質してしまっているので、コロナ禍が落ち着いたときに、基準を精査しながら本当の待機児童数を確かめる必要があると思います。
 もうひとつ、保育や学校・幼稚園の現場から上がってきている問題ですぐ対応しなければならないと思っていることは、日本には子どもに対する性犯罪者をスクリーニングする仕組みがないということです。今、国民民主党で具体的に法案を作っています。現状では、保育士さんで禁固以上の刑になった人や罰金以上の刑になった人は、2年間なれません。学校・幼稚園の先生で禁固以上の刑になった人は10年なれません。問題のひとつには、2年間という就労禁止期間は短すぎます。また、保育士さんと学校・幼稚園の先生で制度が違うので、先生にはなれないから保育士さんになろうというスライド事案が起こっています。この2点を解決しないといけません。基本的には、保育士さんや学校・幼稚園の先生のような国家資格のもとで子どもと日常的に接する職業については、子どもに対する性犯罪の有罪判決を受けた人は、10年は別の仕事で更生してもらいましょうという制度を作りたい。さらに、塾の先生やスクールカウンセラー、ベビーシッターなど、資格ではないけれども子どもと日常的に接する仕事も対応が必要です。国家資格じゃないから欠格事由にはできないけれども、イギリスにあるDBSという制度を使って、雇い主が応募してきた人に、子どもに対する性犯罪歴がないことの証明書を持ってきてもらえるようにするという仕組みを作ることは有効だと思います。自民党の案は努力義務止まりで、どこまで有効なのかわかりません。法律で欠格事由にするべきだと思います。」

―皇室のあり方について、どのようなご見解をお持ちか教えてください。
「社会は政治の権力と皇室の権威という2つの中心があったほうが、バランス上良いと思いますので、皇室は続けた方が良いと、私は考えています。皇室を続けることは、皇室の方々にも負担をお願いすることにもなりますし、世襲制を取る以上、時代に合わせて制度を改善していかなければ、少子化時代に続けて行くことはできない。そういった中で、女性(皇族)も天皇になれる、女性(皇族)のお子さんも天皇になれる、そしてそのためにも女性(皇族)が結婚しても皇室に居続けることができる、この3点セットが必要だと思います。女性天皇・女系天皇を認めることによって、次の世代のお世継ぎがひとりしかいらっしゃらないという深刻な現状を打開することになります。また、美智子上皇后や雅子皇后など皇室に嫁いだ女性が、それぞれ男の子を産まなければならないというプレッシャーの中で、体に故障が生じたり心身疲れきったりするような、非人道的な現状を変えることもできます。もっと皇室の方々に思いやりをもって接した方が良いのではないかと思いますので、速やかに制度改正が必要だと思います。」

―最後に、若者や学生の皆さんにメッセージをお願いします。
「政治家は、若者にメッセージと言われると、政治に興味を持って政治家になってくださいと言う人が多い。私は政治に興味を持ってほしいとは思いますが、必ずしも政治家になってほしいとは思っていません。日本では、政治に物を言うなら政治家になれという雰囲気があって、それが政治を悪くしていると思います。政治家以外でも、政治に関わる手段はいっぱいあるよということです。おとな研究所も実践していると思いますが、おとな研究所に関わることだって政治をしていることなので、ぜひ色々な関わり方があることを伝えたいですね。民主主義国家の強さは、政治家でなくても政治をする人がどれくらい多いかによると思うので、自分に合うやり方で政治に関ってほしいと思います。」

 コロナ禍で多くの人が、感染したり経済的に苦しんだりしている中で、感染対策を立法面から万全にしようという、山尾議員の強い意気込みを感じた。また、安倍政権下で進められた「就学支援新制度」から漏れ、大学無償化の支援を受けられない3浪以上の人や中間層の子女について、山尾議員が支援の必要性を強く言及していたことが印象的であった。2021年は、政策先導型政党「国民民主党」の一員として、国民本位の政策提案を続ける山尾議員の姿を見ることができそうだ。

 

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