菅政権が日本に残したもの ー1年間の国政運営を振り返る

菅内閣総理大臣は3日、自民党の総裁選挙に出馬しない意向を表明した。事実上の退陣表明には、各界から驚きが出た。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、低支持率に悩まされていた菅政権に対して自民党内からの反発も多く、菅―二階体制批判を展開していた岸田文雄氏が勢いをつけていた状況であった。

菅総理が辞任するのは自民党総裁選後となるので、在任期間はちょうど一年程度となる。安倍政権の8年と比べれば確かに短いが、近年の短期政権と比べられない程の実績を残している。今日の記事は菅総理の実績を辿っていく。


ピンチヒッター菅

菅政権は安倍前総理の辞任によって突然発足した。コロナ対策に対する国民の反発による支持率低下や、潰瘍性大腸炎の再発によって辞職した安倍総理の時事上後継候補として立候補した。総裁選では細田派、竹下派、二階派、麻生派など幅広い派閥の支持を集め、岸田文雄氏と石破茂氏を下し、第26代自民党総裁選に就任した。安倍政権で内閣官房長官を務めており、新元号「令和」の発表を行った本人である事もあり、知名度は高く就任当初は70%台の支持率を記録した。

断行される改革

菅総理と平井デジタル大臣

「国民の為に働く内閣」と打って出た菅政権は立ち位置として、安倍内閣の後継と位置付けられており、実際にアベノミクスの継承を宣言してた。しかしながら、菅内閣発足直後から全くの前例踏襲政権で無い事はあきらかであった。

菅総理が就任直後にデジタル庁の創設を目玉政策として打ち出した。デジタル庁とは各省庁で別々に行っていたデジタル化政策を統合する目的で設立された組織だ。企画立案、IT戦略、そして、予算に関する権限を内閣官房直属のデジタル庁の下に集約させる事による、霞が関から市役所までのデジタル化を一気に推し進める予定だ。

デジタル庁の新設は菅政権が日本の統治機構を大きくアップデートさせる強い意志の表れだった。これまで、官邸主導、として公務員人事の適正化などを推進してきた菅総理だからこそ可能であった事だろう。

更に、日本学術会議の任命拒否、官僚の残業問題切り込みなどこれまでタブーであった事柄に対して切りこめた事自体、賞賛に値するだろう。

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Takuya Hirai and Yoshihide Suga 20210901 3.jpg

コロナ問題、そしてワクチン確保

菅政権は発足直後から、新型コロナウイルス対策を国民から求められていた。他国のような強力な行動規制や病棟徴収は法規上不可能なのにも拘らず、欧米諸国よりも低い感染者数・超過死亡数を維持した事は特筆すべき事だ。

そして、ワクチンに関しては確かに欧米諸国と比較して初動は遅れたが、6月以降は一日100万回越えと、世界トップクラスのスピード確保しそれに対応できる供給回数を確保できた事は評価されるべきだろう。似た状況にある韓国やオーストラリア、ニュージーランドと比較しても、接種率は頭一つ抜けている。

しかしながら、感染者数が他の先進国と比較し大幅に少なかったにも拘らず、コロナ対応病院のキャパシティーが限界にまで押された事は、強固な既得権たる「厚生ムラ」を打破できなった事を示唆する。そもそも、日本は病棟数が世界トップクラスにも拘らず、非常時に民間徴用の制度が確立されてないが故に生じた問題である。

本来は日本の医療制度の構造的問題をコロナに乗じて、改革すべきだったのではないか?デジタル化や規制緩和などの中長期的な課題も勿論重要だが、パンデミックで明らかとなった医療問題こそ先に手を付けるべきだったであろう。これは、民間病院使用の件だけではない。大規模ワクチン接種システムの構築や、パンデミック対策を専門とする日本版CDCなどの設立を進めるべきであっただろう。

脱炭素への道筋

Yoshihide Suga 20210104 1.jpg

菅政権最大の功績は、脱炭素に対するコミットメントとも言える。2050年までに温室効果ガスの純排出ゼロ目標は脱炭素化を推進する世界の潮流にようやく日本が追いついた事を象徴した。脱炭素はもちろん目標だけでは達成されない。火力発電のフェードアウトなど、社会インフラを根幹から変える事が求められている。具体的な行動計画は未定だが、当然水素社会の導入や再エネ比率の引き上げも当然求められている。

エネルギー政策に関しては、再エネの野心的な導入に関しては評価できるものの、原子力に関しては既定順序縮小路線なのは残念と言わざる得ない。菅政権は福島第一原発の処理水問題解決の道筋をつけた部分は評価できる以上、脱炭を推進する立場からして原発の積極的な推進には取り組んでほしい所である。

菅政権のレガシー

安倍政権の功績が「戦後レジームからの脱却」であるとすれば、菅政権は「ポスト・戦後レジームの構築」だったのではないか?これまでの官僚支配に立ち向かい、デジタル化、温暖化など21世紀の懸案に対して解決の道筋を立てたのは確実である。

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しかし、パンデミックで露呈した日本の医療機構問題、そして原発に対する消極的な政策は菅政権が掲げていてた「改革」のマントラに反するものなのではないか?ただ、在任期間が一年間だったと言う事も忘れてはいけないだろう。菅政権は、一年と言う極めて短い在任期間としては、前例がないほどの功績を残したのは事実であり、後世に評価される事は確実だと考える。

関連記事:菅政権が終わるたった一つの理由 -発足から総裁選不出馬表明までの軌跡と末路

 

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神谷ゆうた

投稿者プロフィール

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オーストラリア国立大学、政治哲学経済学部(PPE)在籍の19歳。日本維新の会学生部広報課長

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