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社会主義・新自由主義という批判のための批判 -ゲストライター

ライター:がくと @SaberArigatou

※この記事は、ゲストライターによる寄稿記事です。おとな研究所編集部や所属ライターが作成した記事ではありません。なお、寄稿の応募はコチラから誰でも可能です。


先日、自由民主党総裁選が告示されました。そこで、私はネット上で「批判のための批判」が行われていると感じました。

岸田文雄候補は「社会主義」

Twitterにて、NHKのNews Watch 9という番組で放送された岸田文雄候補の発言が、ある種切り取られたような形で「社会主義」と批判されました。

その発言を引用します。

「市場や民間に任せればいいという時代は終わった」
ー岸田文雄総裁候補

確かに一見、社会主義という批判は正しいように思えます。

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ここで一旦、岸田候補の「新しい日本型資本主義」という政策の概要を見てみましょう。

規制緩和・構造改革などの新自由主義的政策は確かに我が国経済の体質強化と成長をもたらしました。他方で、富める者と富まざる者、持てる者と持たざる者の分断も生んできました。成長のみ、規制緩和・構造改革のみでは現実の幸せには繋がっていきません。

今こそ、成長と分配の好循環による新たな日本型資本主義の構築が必要です。そのため、「新しい日本型資本主義」構想会議(仮称)を設置し、ポストコロナ時代の経済社会ビジョンを策定し、「国民を幸福にする成長戦略」と「令和版所得倍増のための分配施策」を進めます。

岸田文雄 総裁選特設サイト 声をかたちに。信頼ある政治 自由民主党総裁候補 岸田文雄

確かに社会主義的に見えますが、規制緩和や構造改革を完全に否定しているわけではなく、また市場を否定しないが富の再分配や格差是正を重視しているため、どちらかと言えば社会自由主義的な政策と言えます。

ここで疑問なのですが「社会主義的政策」だからなんだというのでしょうか。

Twitterでは社会主義的だから駄目というように考えていると思われる方が多く見受けられましたが、ケインズ派の登場以降は資本主義国においても社会主義的政策が取り入れられ、それによって福祉面などが充実し国家が繁栄しました。岸田候補を社会主義と批判する方々は、社会主義の悪い面だけをクローズアップして見ているように思えます。

ですが、これは社会主義という思想に対してだけ起こることではありません。

まるで悪魔思想のような扱いを受けている新自由主義もその一例です。

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一方的に悪者扱いを受ける新自由主義

昨今、ネット上では反新自由主義の気運が高まっており、それと似たような主張を唱える政党もネット上では支持率が高い傾向にあります。

ですが、やはりこちらも悪い面だけをクローズアップして見ているように思えます。

「新自由主義によって格差が拡大し、大企業や富裕層は富んだが貧困層は更に貧しくなった。また規制改革によって生活インフラが民営化され、料金は上がり質は下がって庶民はさらに苦しむことになった」

これがネット上の反新自由主義の言説でしょう。

確かにこれらは新自由主義の負の側面であり、間違っているとは言えません。むしろ正しいでしょう。

ですが、そもそも現在の自民党政権の姿勢はとても「新自由主義」と呼べるようなものではないでしょう。

自民党及び公明党が目指しているものは

・大きな政府
・社会保障の充実

であり、これらは新自由主義とはほぼ真逆と言っていい考え方でしょう。

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国民皆保険を堅持し、小児・周産期医療、救急医療等の確保、医師偏在対策、医師の働き方改革を進め、安心して受けられる医療の確保を図ります。住み慣れた地域で切れ目のない医療・介護が受けられるよう、かかりつけ医・歯科医・薬剤師機能の強化を含め地域包括ケアシステムを強化します。

誰もが安心、活躍できる人生100年社会をつくる | 重点政策 | 自由民主党

と自民党公式サイト・重点政策にも記載されています。

1964年11月17日の公明党結成大会では、会場に「大衆福祉の公明党」の垂れ幕が掲げられていました。まさに大衆福祉こそ、公明党の原点であり根幹なのです。

「大衆福祉」の推進力 | TOPICS | 公明党

と公明党公式サイトには記載されており、この2つの政党は大きい政府と社会保障充実を目指していることがわかります。

そして、規制の数は「聖域なき構造改革」を掲げた小泉政権ですら増加しています。

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現在では新自由主義と評される安倍政権でも、規制は強弱を問わず増加しています。

画像2

菅政権が規制改革という新自由主義的な政策を看板にして一年間を戦い抜いたのは事実ですが、根本的な理念が今までの自民党と変わってはおらず、それは新自由主義ではないのであくまで「社会自由主義の中に新自由主義的政策をミックスする」という程度の話です。

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総括〜なぜどちらもダメなのか〜

社会主義だから駄目、新自由主義だから駄目という方々の両者に共通して欠けている点があります。

それは先程から述べている「悪い面しか見ていない」ことです。

メリットもデメリットもあるというのはどの物事にも共通して言えることであり、社会主義と新自由主義にも共通することです。

私は社会主義的政策も新自由主義的政策も日本にとっては必要だと思っています。
社会主義的政策をやりすぎれば、民主主義や自由、そして市場経済が脅かされます。
逆に新自由主義的政策をやりすぎれば、格差や分断が広がり、弱者は見殺しにされる世の中になってしまいます。

社会主義的政策の良い点は市場経済が取りこぼす弱者を救い、格差と分断を抑制できる点です。
新自由主義的政策の良い点は機会の平等が実現され、自分の力によって喜びを感じやすい社会になる点です。

社会主義的政策の欠点を補うのが新自由主義的政策であり、また新自由主義的政策の欠点を補うのが社会主義的政策なのです。

社会主義的政策と新自由主義的政策は昨今、頭ごなしに否定される方々が非常に多く、これは由々しき事態であると感じたためこの記事を書かせていただきました。

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一度謙虚になり、どちらの思想も第三者目線で俯瞰することが大切です。


ライター:がくと @SaberArigatou

プロフィール:未熟な高校2年生です。保守でもリベラルでもありません。

※この記事は、ゲストライターによる寄稿記事です。おとな研究所編集部や所属ライターが作成した記事ではありません。なお、寄稿の応募はコチラから誰でも可能です。

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