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【主張】21年主要先進国で最下位のGDP成長率 現金一律給付を再給付すべきである

 7月27日、IMF(国際通貨基金)が、令和3(2021)年の各国のGDP成長率見通しを示した。中国発祥の新型コロナウイルスの流行不況で、経済が軒並み落ち込んだ令和2(2020)年から、各国がどれほどの回復を見せると予想されるか、注目が集まっていた。

 日本の成長率は、主要先進国の中で最も低い2.8%の成長率の予測となった。なお、アメリカが7.0%、ヨーロッパは4.6%などとなっている。多くの先進国が新型コロナ禍なぜ、日本の経済復興は遅れているのだろうか。

予備費と昨年度補正が執行されず

 その一因として、令和2(2020)年度の予算の一部がまだ執行されていない点がある。政府は、昨年4月に1度目の緊急事態宣言を出してから、かつてない規模で3回にわたる補正予算を組んだ。しかし、時事通信の報道によれば、73兆円の補正予算のうち約4割にあたる30兆円が積み残されているという。

 go toキャンペーンが途中で中断を余儀なくされたなど不測の事態が起こったのは事実である。しかし、だからこそ野党の国民民主党が、「組み換え動議」と呼ばれる補正予算の対案で、go toトラベルを令和3年度予算案に回し、まずは年度内に執行できる現金給付に組み換えることを提案した。ところが、政府はそれを受け入れなかった。また、田中秀臣氏らのような「御用学者」が、go toトラベルの優位性を強く主張し、「go toを削減する国民民主党は反リフレ的政党だ」などと、何の根拠もない論難を行った。

 確かに、田中秀臣氏の主張の一部である、「go toは成長に資する」というものには同意する。しかし、国民民主党の組み換え動議は、①現役世代一律現金10万円給付、②消費減税、③事業規模に応じた補償などを内容とするものであり、年度内に積み残すことなく執行することが可能であった。逆に、田中氏が大好きなgo toは、1月、2月の感染状況からして、年度内はおろか、GWまで執行することが困難であったので、積み残すことが明白であった。さらに、go toができる状況ではない以上、飲食業や観光業で働く人の生活保障のためにも、若者や現役世代に対し自粛への協力を呼びかけるためにも、現金一律給付を行うべきであった。そういう意味で、国民民主党と田中秀臣氏を比較すると、前者に理があったことは明白である。田中氏は、政権に近い立場のため、党派的に物事を見すぎてしまい、コロナの感染状況も込みにした現実的な判断ができなかったのだろう。

 しかし、結果的に田中氏らの主張が通ってしまったために、今なお多くの予算が残ってしまい、国民に届かないままなのだ。

今こそ、家計支援策を

 さて、本題に戻ろう。予算の積み残しがあったことや、現金給付などの家計支援策がほとんど盛り込まれなかったことから、庶民に経済対策の恩恵が届いていない。その結果が、GDP回復の落ち込みである。実際に、令和3年5月の消費支出は、令和元年5月比で、6.5%減少している。今こそ、家計第一の政策が必要なときである。

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 もちろん、go toが執行できる状況なのであれば、より消費喚起効果が強くGDPへの効果も強いgo toを軸とした経済対策とすべきである。しかし、2月からさらに感染状況が悪化し、首都圏を中心にデルタ株が猛威を振るっている。このままでは、コロナ不況が長期化するだろう。平時に近い状況であった昨年秋と同様の感覚で、経済対策を行っていては、失敗してしまう。

 今こそ、徹底した家計減税策と、現役世代一律の現金給付によって、家計を支援すべきだ。まず、減税策により家計に残る現金を増やすべきである。軽減税率は、現在8%であるが、これを5%か0%に減税するべきである。さらに、対象品目に、外食も盛り込むべきである。日本は安価な外食チェーンが多く、諸外国と同様に「外食は贅沢だ」とは、必ずしも言えないからである。次に、コロナ禍で収入が減っている現役世代に10万円給付を行うべき(低所得者は20万円給付)である。

 個人の消費支出が弱含んでいるのは、コロナ禍で収入が落ち込んでいるにもかかわらず、令和元年10月の消費増税や相次ぐ社会保険料増額などの増税のため、手元に残る現金が少なくなっているためだ。そうであれば、まずは手元に残る現金を増やすべきであると訴えたい。

 

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