おとな研究所は新しくなりました!

菅義偉前首相の退陣に、野党各党ははどのようにコメントしたか? 各党のスタンスが丸わかり!

 4日、岸田首相が国会に首班指名され、天皇陛下からの任命を受け、正式に首相になった。多くの人が新首相にばかり目が行っているのだが、同日午前には、菅義偉前首相の退陣に関する動きには、スポットライトが集まりにくい。

 だが、菅前首相の退陣当日や総裁選不出馬が決定した直後に出された野党のコメントは、実に多種多様なものがある。今回は、この菅首相退陣についての野党党首のコメントに注目し、それぞれの党の幹部が身を引く者にかける言葉などを可視化していきたい。

立憲・共産「菅首相が政権を投げ出し」

 政策協定を結び閣外協力という形での連立政権を目指す立憲民主党と共産党は、幹部が口を揃えるかのごとく「政権の投げ出し」であると、心無い苛烈な批判を行った。両党は、政策と政権を共にすることを決めただけあって、とても歩調が合っていた。実際には、菅前首相は自民党内の権力闘争に敗れ、総裁選で勝てる見込みが薄くなったため、不出馬を選ばざるを得なくなったと言うのが、大筋の味方だ。もし仮に、総裁選で勝てる見込みがあったのであれば、菅前首相は退陣を選ばなかったであろう。

 まず、9月3日、菅前首相が自民党総裁選不出馬とそれに伴う不出馬を決意した際に、共産党の志位委員長は以下のようにコメントした。

「菅首相が政権無げだしという事態となりました。この政権の投げ出しは、こんな政治は我慢ならないという世論の運動に追い詰められた結果だと思います。」

菅首相、政権投げ出し 2021.9.3

 なお、志位委員長は、雑誌「AERA」にインタビューを求められた際に、菅政権の評価を「マイナス100点」と評価している。

参考:共産・志位和夫委員長、菅政権を評価「マイナス100点」 衆院選はコロナ争点に〈AERA〉

<スポンサー>

 これに歩調を合わせたのが立憲民主党である。立憲民主党の枝野代表は、9月3日、国会内で取材を受けた際に「首相は無責任で、こうした状況を作った自民党全体に政権を運営する資格はない」と表明した。枝野代表は、「無責任」という言葉を使いこそすれ、「投げ出し」だとは言わなかったが、立憲民主党の他の幹部・有力議員が軒並み共産党と同様の「投げ出し」批判を行った。

 例えば、福山幹事長は、9月3日、SNSサイト「Twitter」にて、以下のようにツイートしている。

菅首相は自民党総裁選挙に立候補しないことを表明した。実質的な退陣表明だ。衆議院の残り任期が50日を切る中で、何よりコロナの感染拡大が続き、国民の命と生活が危うい中で、総理が総選挙の日程も決めず、臨時国会も開かず、投げ出すなどありえない。無責任極まりない。自民党も政権与党の資格なし。

福山哲郎立憲民主党幹事長のツイッター

 なお、旭川前市長の西川将人氏は、同市の公立中学校内で発生した「いじめ自殺」事件の真相究明を未だ果たさぬまま、立憲民主党公認で衆議院選挙に出馬するために同市市長を辞任している。

国民・玉木代表「東京の感染者数2桁は、菅首相の実績」

 他方で、国民民主党の玉木代表は、菅政権の退陣に至った経緯を批判しながらも、退陣当日は、菅政権の成果を称えた。

 まず、9月4日、玉木代表は、以下のようにブログで述べ、菅首相の退陣に至った自民党の体質を批判し、一定の対決姿勢を見せている。

 菅総理の突然の退陣表明には正直驚いた。緊急事態宣言の真っ只中にコロナ対策の最高責任者が辞意を表明したことは異常事態だ。後手後手にまわったコロナ対策の責任をひとりで引き受けた形だ。政府・与党全体の責任であるのに、選挙を前に浮き足立つ党内勢力に引きずり下ろされたのが実態だろう。残酷なものである。

<スポンサー>
菅総理の退陣表明をうけて

 だが、10月4日、菅首相が退陣のあいさつに訪れた際には、コロナ禍で首相の仕事をやり遂げた菅首相の1年間の仕事ぶりをねぎらった。退陣に至った経緯については一定の批判をしながらも、最後は「政敵」である自民党の首相にも礼を尽くした。

維新 菅前首相をねぎらう一方、岸田首相には対決姿勢

 日本維新の会の議員も、菅首相に対しねぎらいの言葉を発している。藤田文武衆議院議員もその一人である。藤田議員は、以下のようにツイートしている。

 ところが、維新は、自民党総裁選の結果に対しては、厳しい評価を下した。9月29日、松井一郎代表は、「永田町の派閥論理で、自民党の権力争いの中で旧態依然とした体質をさらけ出した」と自民党総裁選の結果を痛烈に批判。その背景には、改革に否定的な岸田文雄氏が自民党新総裁になったことがあると考えられる。自民党総裁選については、概ね、同党議員は松井代表と同じようなコメントである。

 他党の総裁選挙の結果を痛烈に批判した維新であるが、同党は、2016年以降、国政政党の代表選挙を1回も行っていない。

参考:自民 岸田氏が新総裁へ これからの日本はどのような道を進んでいくのか

<スポンサー>