効果不明の大盤振る舞い:令和三年補正予算案

6日に臨時国会が開幕し、その所信表明演説で岸田総理は追加の経済対策に取り込む姿勢を再度表明した。その経済対策の裏付けとなる補正予算案は鈴木財務大臣から明日10日に趣旨説明を行った後に週明け13日から予算委員会で本格的な審議が開始される。

生活困窮者への追加支援や18歳以下の給付・クーポンに関する批判などは読者の多くもご存知かもしれないが、今回の補正予算総額は約36兆円(内政策経費は約32兆円)。様々な事業や施策が行われる。ここで本日の記事ではその事業をレビューしていく。

政府による説明によると今回の補正予算案の柱は4本ある。

  1. 新型コロナウイルス対策 (約18.6兆円)
  2. ウィズコロナの景気対策 (約1.8兆円)
  3. 「新しい資本主義」の起動(約8.3兆円)
  4. 国土強靭化などの防災対策(約2.9兆円)

補正予算詳細

分類の意味とは?

これだけを見ると綺麗に整理されている様に見えるが、実際の中身を見ると違う。例えば、生活支援は「新型コロナウイルス対策」に「住民税非課税世帯への給付金」が入っているが、話題となっている子育て世代給付・クーポンは「新しい資本主義」の名目で行われる。他にも非合理的な区分がいくつも存在するが、理由としては政府(特に岸田政権)の官僚主義・役所縦割り体制があると言える。この線引きは所管の省庁が基本となっており、事業の主旨がたとえ同じだとしても、所管が内閣府と厚生労働省だったとすると一元的な運用が行われないのである。この弊害は子育て応援給付とクーポンが「基本的に別事業」と松野官房長官が発言したのと同じ根本的な理由だ。

名前は「新しい」でも中身は古い

岸田政権は小泉政権以降の経済政策を「新自由主義」とレッテルを貼り、対する岸田政権はスローガンとして「新しい資本主義」を掲げている。そして岸田政権初の大型事業とも言える今回の補正予算案にもそれに特化した内容と言う説明もなされている。しかしながら、特段新しい政策は見られることはなく、総裁選に確約してしまった「30兆円」の大台を達成する為にこれまで省庁が求められていた政策や連立与党の要望を満額回答で答えただけの内容となっている。「分配と成長の好循環」をモットーにしている岸田政権は、雇用の目詰まりと賃金硬直化の引き金となっている雇用調整助成金の維持・追加予算を決定した所からもビジョンの無さが伺える。

むしろ、31兆円にものぼる補正予算案の中で「岸田カラー」があると言えるものは「看護、介護、保育、幼児教育などの現場で働く方々の収入の引上げ」くらなのではないか?この費用は約2600億円と補正予算案の1%にも満たない。他にも岸田総理が掲げたスローガン「デジタル田園都市構想」などの実現を目指す予算措置などもあるが、中身を見てみると従来のバラマキ用途指定型地方交付金であって、その内容も菅前総理が推進していてたデジタル政策の劣化版みたいなものだ。

ブレる補正予算の意義

そもそも、施政方針演説にあった様に、今回の補正予算はこれから到来する事が想定されるコロナ感染拡大に備える医療体制の充実と再び失速している景気の下支えが主旨である筈だ。なのにも関わらず、補正予算案内には関係の無い補助金・事業が目立つ。科学技術振興や防衛費は確かに必要な支出だ。しかしながら、今回の補正予算で計上する意味はあったのか?特に、デジタル化・生活支援に関するものを中心に今回の補正予算事業の多くは地方に負担を求める物が多い。ただでさえ三回目のワクチン接種準備で忙しい地方自治体を中央政府の都合で振り回す事は様々な問題を引き起こす事となるだろう。景気対策であれば事務コストが圧倒的に少ない税・社会保険料の徴収停止でよかったはずだ。

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経済効果は果たして

一応30兆円に達した予算規模だが、これがただちに経済に好影響を与えるかには疑問符が残る。10兆円弱も計上された地方創生臨時交付金は時短協力金などの立替と言う側面もあり、新たにそれだけの額が市中に回る訳ではない。他にも技術開発支援など必要だがただちに消費されない予算が目立つ形となった。支出規模だけを求めた結果、GDPギャップを埋める事はない、効果的では無い支出ばかりとなった。景気の下支えに必要なのは即効性がある、ただちに消費に回る支出である。これに該当するのはクーポンや現金給付や公共事業(余剰供給がある場合)だ。

今回の補正予算案は額面ほど経済効果が無い事が想定され、岸田政権の弱点を露呈させたと言っても過言ではないだろう。衆参両院で過半数を得ている与党は難なくこの予算を通過させるのだろうが、施行後に「こんな筈ではなかった」と言う事態だけは避けてほしいものである。

関連記事衆院選は後半戦に コロナ禍での経済対策をどうするか? 各党の経済政策を徹底比較

参考文献:
https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2021/fy2021.html#hosei

 

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神谷ゆうた

投稿者プロフィール

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オーストラリア国立大学、政治哲学経済学部(PPE)在籍の19歳。日本維新の会学生部広報課長

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