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【都構想①】そもそも都構想とは?/なぜ再チャレンジするのか

大阪市を新たに4つの特別区に再編するいわゆる「大阪都構想」の住民投票が今日、告示された。20日間の選挙運動期間を経て、11月1日に投開票が行われる。今回は2015年に続く2度目のチャレンジとなり、賛成派・反対派による選挙運動が活発化されると予想され、全国的にも注目が集まる。

今回より、おとな研究所の私の担当日では都構想についての解説記事を順次投稿していきたいと思う。都構想に関しては例えば「生活保護がなくなる」などの根拠もないデマが大阪市内だけに留まらずインターネット上を中心に全国的にも広待ってしまっている懸念がある。

是非この機会に都構想について理解が広まっていただきたいと思っている。

①そもそも都構想とは何なのか

大阪市を廃止し、新たに4つの特別区に再編

全24行政区からなる大阪市を廃止し、新たに4つの特別区に再編する制度のことである。これは大阪維新の会が大阪府知事・市長のポストを得る前の「府市合わせ(不幸せ)」と呼ばれていた、大阪府と大阪市がバラバラだった過去の反省から生まれ、提唱された構想である。

2重行政を解消し、府市一元化を制度的に実現

大阪都構想の主な目的は、「2重行政」の解消である。かつての大阪は府市対立に伴う熾烈な開発(大阪市はWTCビル、大阪府はりんくうゲートタワービルを建設し、どちらが高いビルを建てられるか不毛な争いを展開)や、府市で重複類似するサービス(信用保証協会等)等が存在しており、大阪の発展に大きな弊害をもたらしていた。

そのような現状を打破すべく、2011年より「大阪府市統合本部」を設置。成長戦略の一元化や市営地下鉄の民営化、前述したこれまでの課題等を実現・解決させ、問題となっていた2重行政解消へ大きく前進した。

(出典・副首都推進局)

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しかし、ここまで進展したのは大阪府知事・市長の人間関係の恩恵であるのが一つ注目していただきたい点である。

現時点では知事市長はどちらも大阪維新。松井市長と吉村知事の両行な関係により円滑な府市連携が進んでいる。これは俗に「バーチャル都構想」とも表現されている。しかし仮に松井ー吉村間の人間関係の悪化や路線対立、もしくは知事市長が維新ー共産 等の組み合わせになってはどうなるだろうか。大阪府市の連携は進まないどころか、むしろ大阪の成長を後退させてしまう可能性も否めない。

知事市長の人間関係で頼るのではなく、制度として大阪府と大阪市の連携を恒久的に実現させようとするのが大阪都構想を実現させる大きな意義となる。

②なぜ再チャレンジをするのか

都構想「対案」大阪会議が機能せず

2015年5月17日大阪都構想住民投票が行われたものの、僅か1%の差で否決した。開票後、当時の橋下徹市長が記者会見で正式に政界引退を表明。都構想は廃案に追い込まれた。

その後、大阪自民党などが都構想の「対案」として提唱していた「大阪戦略成長会議(大阪会議)」が設置された。当時の自民党らは、知事と市長が話し合いの場を設けることで二重行政や府市の対立は解消できると訴えていたのだ。

しかし、会議が開かれたのは僅か3回。「都構想反対派」によるまともな議論など行われることが無かった。都構想の対案として掲げていた大阪自民党ですら途中より「これは対案ではない」と訳の分からない主張を展開。橋下元市長が「大阪ポンコツ会議」と酷評する程となったのだ。

全く機能されなかった「大阪会議」。これではやはり「都構想しかない」と確信した橋下元市長らは、「再チャレンジ」を民意に訴える事としたのだ。

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15年W選挙、19年XW(クロスダブル選挙)で圧勝、住民投票再チャレンジへ

2015年11月に行われた大阪W選挙では都構想再チャレンジを掲げ、知事には松井一郎氏、市長には橋下氏後継となる吉村洋文氏(共に維新公認)が当選。選挙結果を受けて都構想再チャレンジへと再び動き出した。

当初、大阪維新の会側は2018年秋ごろをめどに都構想住民投票を行う事を目標としていた。しかし、都構想の制度案等を審議する法定協議会において、当初住民投票実施まで協力するとしていた公明党らと実施時期等をめぐり対立。翌年には両党間での交渉が決裂し、松井知事・吉村市長が辞職し再び都構想の是非を民意に問う事となったのだ。

松井知事は大阪市長選へ、吉村知事は府知事選へ立候補するという異例の入れ替え選挙は「クロスダブル選挙」と呼ばれ全国的に大きな話題となった。

統一地方選と同時に行われたXW選挙は、大阪維新対自民公明立憲共産などの主要候補相乗り選となったものの、松井・吉村氏が大勝。都構想再チャレンジに関して再び民意を得る事となった。

選挙後、公明党は都構想再チャレンジ容認が大阪府民・市民の民意であるとして大阪維新の会側と再び歩み寄り。維新側が「初期コスト削減」などの公明党4条件(次回、5年前の制度案との違いなどの解説記事を掲載)を制度案に取り入れたことにより、公明党が都構想賛成へ。制度案が議会で可決されたことにより、今、都構想住民投票再チャレンジはスタートしたのである。

このような

①都構想対案「大阪会議」の機能不全

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②2度のW選挙による民意の獲得

により、都構想住民投票再チャレンジが行われることとなったことをまず、制度そのものの賛否以前にご理解を頂ければと思っている。

※制度案、都構想に関する疑問、デマ等何かご要望があれば記事としてまとめます。ご要望等はTwitterまで。( @ishin_ocha )

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