【独自】あなたの税金が「自粛破り営業」を支援している?キャッシュレス還元事業の問題点

 キャッシュレス決済事業者「paypay」は、全国の自治体と連携し、「あなたのまちを応援プロジェクト」と題し、中小事業者での買い物・飲食でpaypayを使って決済をすると、10%から30%程度が還元されるというキャンペーンを行っている。特に今年9月は、東京都内だけで15を超える自治体がこのキャンペーンに参加しており、消費の押し上げ効果が期待されている。

参考:Paypayであなたの街を応援しよう!

 一般に、キャッシュレス還元自体は、単に商品券を配るよりも少ない財源でより効果的な消費刺激を行うことができるとともに、キャッシュレス決済(特に非接触式の決済手段)を促すことで新型コロナウイルス感染予防にもなると考えられる。したがって、このような政策を各自治体が取ること自体は素晴らしいことである。

 ただし、以下に述べるとおり、早くもその政策に「穴」が見えている。これは、筆者が実際に23区内の飲食店に行ったり、通りかかったりしたことで気づいたことである。今回は、単なる問題提起に留めておき、今後関係各所への取材を試みる。

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あなたの税金が「自粛破り応援金」に!?都道府県と異なるメッセージを発する市区町村

 東京都内では、9月19日現在も緊急事態措置が続いており、飲食店は全店舗20時までの閉店を東京都に要請されている。したがって、東京都としては、20時を超えた営業は避けてもらいたいと考えており、ましてや税金で20時以降の営業を支援するなど言語道断な話である。実際に、東京都は、自粛要請に応じない事業者に、指示、命令、罰金などのより強い措置を講じている。

 これに対し、今回のキャンペーンでは、自粛していない事業者にも支援が行われていることが判明した。16日の午後8時すぎ、筆者が23区内のある繁華街から駅に向かっていると、焼肉店が20時以降も営業を続けていた。いわゆる「自粛破り」である。しかし、20時以降も営業を行っていたその店は、paypayの還元キャンペーンの対象の店であり、そのことは以前筆者がランチで来訪した際に確認済みである。中を見ると何人かの客が飲食をしており、新たな客の入店も受け入れている様子であった。すなわち、20時以降の営業を行っている飲食店を、「自粛破り」の分まで税金で支援しているということである。

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 逆に、利用客からしてみると、20時以降でも変わらず還元されるのだから、20時以降も飲食をすることがその店の地元自治体に奨励されているようなものだ。東京都が感染者を減らすために必死で自粛を呼びかける中、23区の多くの自治体は、キャッシュレス還元キャンペーンで「自粛破り」を支援しているのだ。都道府県と市区町村でここまで真逆のメッセージを発してしまうと、都の要請に従うことがバカバカしいという風潮が増してくるだろう。

 何も、20時以降の営業を絶対にしてはならない、倒産覚悟で自粛に協力すべきだと言っているのではない。中小の飲食店は、昨年から苦しい経営を強いられており、自粛に協力できない店舗にも理解はしている。しかし、緊急事態措置中に20時以降の営業をするのであれば、税金の補助は辞退すべきである。税金の恩恵を受けておきながら、感染拡大防止には協力しないという態度が、許されるはずがない。

キャンペーンの恩恵に預かりながら「ランチタイムはpaypay決済不可」という身勝手さ 飲食店の規約違反を許すべきではない

 19日、筆者は新宿区内のとある飲食店をランチタイムで利用した。料理自体は美味しく満足であったが、お会計の際にpaypayを出すと、突然「ランチタイムは使えません」と告げられた。新宿区では、9月にpaypayを対象店舗で利用すると25%の還元がある。それにもかかわらず、突然paypayで払えと言われても、こっちは一方的に百数十円も損をすることとなる。店内には、ランチタイムは現金のみという記載はないし、入店時にそのようなことを言われていない。確かに、店外に小さく張り紙がされていたが、入店する際に普通向かない側に貼ってあっただけで、普通は気づかない。

 この店は、明らかにキャッシュレス還元の対象店舗としてpaypayアプリの地図上に記載を受けた店であるにもかかわらず、還元を受けられるだろうと期待して来た客に対し、現金で払わせようとするのだ。しかも事前に十分な告知もない。

 さらに、ランチタイムであることを理由にpaypayでの決済を断るのは、明確な規約違反である。

paypay加盟店規約第4条3項
加盟店は、PayPayの利用に際し、次の事項を行ってはなりません。
(1)PayPayの利用を希望するPayPayユーザーに対してPayPayを利用した取引を拒絶すること、異なる決済手段による支払いを要求することまたは異なる方法で商品等代金を決済すること

paypay加盟店規約

 paypay加盟店規約第4条第3項第1号は、paypayでの取引を拒絶することを禁止している。ランチタイムでは利益率が低いので、わずかな決済コストすら惜しいという身勝手な都合で現金決済を強要するのであれば、paypayやユーザーに対する背信行為である。ましてや、この店舗も、新宿区のキャンペーンの恩恵を受けている店舗であるから、本来そのキャンペーンの適用を求めてくる客に対し、paypayの利用を拒否することは、道義的にも許されるべきではない。もしpaypayの利用を認めたら経営が厳しいのであれば、現金決済に一本化するか値上げをするかのいずれかを選択すべきである。

今後の取材について

 今後、筆者が上記の関連自治体に問い合わせを行いたいと考えている。もし、何らかの情報が出てきた場合には、続報記事を出そうと考えている。キャンペーンの趣旨に反するような規約違反の現金決済強要や、都の自粛要請に逆行するようなキャンペーンの在り方には、疑問が残るため、今後も情報収集を続けていく。

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大学院生2年目です。法律や経済など幅広く投稿します。

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