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経済成長、インフレと長期総供給

こんばんは、マクロスです。今回は「経済学のイロハ」シリーズの第二弾として、経済学ではとても重要な概念なのに、良く忘れられる概念、長期総供給、そしてインフレについて語りたいと思います。

今日の記事に、前回語った記事の知識が必須になる部分もありますから、是非前回の記事を読んでからこの記事を読んで頂けると幸いです。

前回の記事で紹介した供給と需要の関係は、ミクロだけでなく、マクロ経済全体でも共通する事項で、価格(物価)と供給量(実質GDP)は需要と供給の均衡点で決定します。しかし、前回紹介したモデルでは、供給は価格さえ上がれば永久に上がっていく形となっています。解釈によっては、GDPは需要さえ増やせば永久の成長出来るかの様な形となってます。(下図参照)

供給量は永久に上がり続けるのか?

しかし、実際には国全体がどれだけ頑張っても、一定の供給量(実質GDP)を超える事はできません。例えば、いくらマスクの値段が高騰し、マスクの生産が利益を出すことが出来ても、生産設備の問題や、労働力、物流の問題(所謂「ボトルネック問題」)で現在供給できる総数は限られています。これは、経済全体にも当てはめられる事で、生産力の限界は経済学では、長期総供給、又は長期供給限界と呼ばれます。(Long Run Aggregate supply)。逆に、今まで総供給と呼んでいた線は、「短期総供給」(Short Run Aggregate Supply)と呼ばれます。

即ち、長期総供給を、需要、供給グラフに乗せると右端に直線の線となります。そして、短期供給は長期供給を超えられないので、長期と短期の交差点で消えます。

図2クラシカル、AS/ADモデル

しかし、この表記方法に対抗するモデルが実は存在します。このモデルは、短期と長期線を一本として表します。このモデルは、価格の伸び率を現在の供給量に合わせて反映する事によって、一本の供給線を描きます。このモデルは、実質GDPが潜在GDPに近い場合は、価格の伸び率が供給量の伸び率を大幅に超え(古典フェーズ)、実質GDPが潜在より大幅に低い場合は、実質GDPは上昇しますが、価格は全く伸びない構造となってます。価格が全く伸びないのは、生産者側に多くの過剰供給能力がある為、新規投資せずに生産を上げられるためです(ケインズフェーズ)。筆者個人的にはこのモデルの方が好きです(書くのが楽だから。。)

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この総供給線の形は、経済政策に大きな影響を及ぼします。もし、政府が実質GDPが潜在GDPに近い時に、積極財政を行うと、供給能力は限られてるので、成長は起きず、政府と民間で限られた資源の取り合いが起こり、結果としてハイパーインフレが起きます。

古典局面での積極財政

逆に、実質GDPが潜在GDPからほど遠い場合は、積極財政を行っても、インフレが余り起きない状況と言われてますから、積極財政の弊害は起きにくく、GDPを上げられると言われています。(それ以外の弊害はありますが…)

ケインズ局面での積極財政

結果として、毎年政府が出すGDPの成長率は需要の増減のみを示していますが、国としての供給力の上昇(真の成長)は潜在GDPの成長をみないといけません。国がいくら財政支出を行っても、長期的な経済のリミットを上げる政策を行わないと、数年のうちに頭打ちし、成長は止まります。国力は供給量によって決まりますので、ある意味、潜在成長率の方が重要とも言えます。

潜在成長のイメージ

今日はここまでとします、次回は長期供給をどう伸ばすか、そして何故日本維新の会がこの分野で最先端なのかを説明したいと思います。

次回:MMTをぶった切る!?本当に経済の為になる財政政策は??

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